世界のおもしろピアノたち♪
こんばんは&おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
このブログでは、過去数回に渡って、世界三大ピアノと呼ばれるメーカーや、日本の二大メーカーについての真面目な記事をエントリーしてきました。
cosmic-classics.hatenablog.com
そこで今回は、世界の珍しいピアノたちを有名無名に関わらず、ヴィジュアルがカッコイイものからヘンテコなもの(笑)まで、カジュアルにドドーンとまとめて紹介しようと思います♪
ということで気軽に、流し読み(流し眺め?)してくださいね。(≧ω≦)b
世界有名ピアノメーカーの力作たち
ピアノを嗜む人であればきっと(必ず?)耳にしたことがあるであろう、スタインウェイやベーゼンドルファー、ベヒシュタイン。
このあたりの、伝統的なクラフトマンシップ溢れるピアノメーカーは、メーカーの技術を結集させたフルコン等のフラッグシップモデルを中心に、スタンダードな黒、木目が美しいウォルナットやマホガニーを主力として世界中に販売しています。
その他、19世紀王朝やサロン文化を彷彿とさせる、緻密で華麗な装飾が施されたモデルや、新進気鋭のクリエイターと斬新なコンセプトでのコラボで、業界をアッと驚かせるようなスペシャルエディションを精力的に製作していることでも知られています。
▲ゴリゴリで、くどいほどの装飾が目を引きますが、ガツンと敷居を高くしてくれます。(笑)
まぁ、日本人はシャイな民族ですから、こんなの目の当たりにしたところで気後れしちゃいますね。(^^;;
ちなみに、≪ピアノ、装飾、彫刻、王朝、ゴテゴテ、様式美、ゴシック≫等のキーワードを組み合わせながらで検索してみましたが、すべて海外ピアノばかり。
日本のピアノメーカーには遊び心が不足しています。真面目でしっかりとした仕事はするのですが…
ひとつでいいから、そろそろ平均点から抜きん出る部分が欲しいとろですね。これも国民性でしょうか。
ガンバレ、日本!
▲こちらは、ボク好みのモダンなデザインです。やっぱり日本人にはこういうデザインは無理かなぁ。
特にSTEINWAY & SONS のダコタ・ジャクソンMODELが超絶クールじゃないですか♪
シャープで研ぎ澄まされた都会的なコンセプトデザイン。
総じて直線的ではあるけれど、ワンポイントとなる突上棒の女性的な曲線美がなんとも官能的です。
個人的にはブラック&シルバーの組み合わせが好きですね。
宇宙をも連想させる、革新的なピアノデザイン
さて、ヨーロッパ諸国には、上記の超高級で超一流のピアノメーカー以外に、すべて受注生産であったり、小規模ながら品質のいいピアノをコンスタントに生産する伝統あるメーカーがまだまだたくさん存在します。
そして、それらのメーカーではスタンダードなピアノはもちろんですが、上記のピアノたちより遥かに前衛的なコンセプト製品を世に出しています。(但しプロトタイプである可能性もあります。)
▲ショパンが愛したPLEYEL社は、なんと同じフランスの自動車メーカーであるプジョーとコラボ!
最新の空力学がフューチャーされてて…って、車とピアノとか全然関係ないでしょ!(笑)と、ツッコミをいれたくなりますが、まぁこのデザインの実に斬新なこと。
でも、どうせここまでやるんであれば、Rolandの電子ピアノみたいに、譜面台もグレアタイプの液晶とかにしちゃったほうが、より洗練されてていいのになぁ。
あとはドイツSCHIMMEL社(シンメル)のクリスタルピアノの形状が独特ですね。
クリスタルピアノと言えば、日本のKAWAIが有名ですが、正直デザイン的にはちょっと垢抜けない感じが否めません。再びガンバレ、日本!(笑)
▲これらはメーカー名すら不明ですが、非常にクリエイティブなピアノたちです。
欲しいとは思わないけれど、ちょっと弾いてみたい気はしますよね。
ある意味、突き抜け過ぎたピアノたち(笑)
▲エンターテインメントという観点からすれば全然ありですけどね♪(≧▽≦)
まぁ自転車はいいですよ。大道芸だったり、観光客相手にチップもらって生計立てる人もいますからね。
でも、この車はなんなんだ? エンジン部分に張弦してあるし。車内に鍵盤あるし。(爆)
そして、真ん中下の黒鍵がないピアノは、まさかの日本。
こんなところに力入れなくていいぞ、日本!(爆)
そして最期に…これ譜面台は必要なんですか!?ヾ(>▽<)ゞ
↓↓↓↓↓↓↓
▲その前に、ちゃんと音はでるのでしょうか?(笑)
それではまた!(^-^)/~~~
ピアノドクター:理想の調律師
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
全国的に梅雨真っ只中ですが、あなたのピアノのご機嫌はいかがですか?
ピアノは生き物ですから、しっかりと温度や湿度の調整をしてあげましょう。
管理を怠り続けると、取り返しがつかないほどヤサグレてしまいますので要注意です。(笑)
とはいえ、そんなに難しいことではありません。
お宅の屋根に穴が空いてたり、窓ガラスが割れていない限り(笑)夏はクーラーがあれば十分ですし、冬は響板の乾燥防止のためにピアノから少し離れた場所に加湿器を設置することで事足りるレベルです。
▲ただし、いずれにしても湿度計は買っておいてくださいね!
ちなみにボクの場合、以前グランドピアノを設置してた部屋では、夏の間クーラーのスイッチを切ることなく、絶えず除湿モードで湿度を50%位に保ちながら稼働させていました。
クーラーの設置環境にもよりますが、電気を食うのは急激に部屋を冷やす起動直後だけですので、ON/OFFを頻繁に繰り返すより付けっ放しの方がかえって電気代が抑えられる場合があります。
去年の夏は、それで一ヶ月あたりの電気代は8,000~9,000円程度でしたよ♪
▲ピアノのことをよく分かっていない方が、除湿剤を勧められるがまま置いてますが、これほとんど意味がありません。まずは、部屋の環境を整えてくださいね。(^^;;
ピアノの先生ですらピアノのこと分かってない人が結構多いです。
さて、軽くジャブを打ったところで、今回は調律師についてビシビシと書いていきますよ♪
なんてったって、ボクのピアノ愛は半端ないですからね。
中途半端な仕事をする輩は、遠慮なくブッタ斬らせて頂きます。(笑)
調律師って何なの? すごいの?? 美味いの???
すみません、調律師は決して美味くはないです。(笑)
とりあえず、ボクは専門家ではないので、まずは調律って何なのかをきちんと調べてみました。
ピアノ調律(ピアノちょうりつ piano tuning)とは、ピアノの音程を整える作業、 または調律時に行う鍵盤タッチの調整や音色を整える作業などをいう。
狭義には音程を調整する調律(チューニング)を意味するが、広義にはピアノのメンテナンスに必要な技術的作業を指し、ピアノ調律師に頼んで調律してもらう場合のピアノ調律とは、整調と整音、若干の修理を含んで考えることが一般的である。
例えば「鍵盤を押しても音が出ないのでピアノの調律をしてもらう」と言った場合、この時実際に行われる作業は狭義のピアノ調律ではなく部分的な整調や修理であることが多い。
引用元:ピアノ調律 - Wikipedia
これを読むと、調律っていう作業はただ単に音程の狂いを直すだけではなく、ピアノのメンテナンス全体を意味するのですね!
ですから、ひとことで言ってしまえば、調律師は『ピアノのお医者さん』ということになります。
そして、お医者さんには二通りあります。
体調がすぐれなかったり病気になったら、きちんと原因を調べて根本的な治療に取り組む『誠意あるお医者さん』
▼かかりたくないお医者さん
なんでも薬だけで緩和させる、その場しのぎの処置しかしない『いい加減なヤブ医者』
これを調律師に当てはめてみると…
固有の問題点を見極め、さまざまなアプローチによってそれを改善・改良する努力をする。また演奏者(所有者)の求める音を追求するための勉強を怠らない『誠意ある調律師』
▼任せたくない調律師
音程を適当に合わせることしかやらず、あきらかな問題点が見つかっても放置。勉強する気などさらさらなく、客を丸め込む口だけは達者な『調律師もどき』
決してオーバーではなく、後者に当てはまる調律師はその辺にゴロゴロ転がってます。
それでも彼らは一応専門家ではあるので、ピアノが上手に弾けてもメカニズムをよく分かってない人であれば、上手いこと丸め込まれて適当に調律されてハイ終わり!なんてことになりかねません。
世界最大手でもある日本一のピアノメーカーのピアノ教室を例に挙げてみますと、あのキンキンガンガンとした耳障りな金属音…一体どういうつもりなんでしょうか?(-_-;
感性を磨く大切な幼少期に「よくこんな程度の低いピアノ集めたね…ワザとなの?」ってレベルのピアノでレッスンしてるんです。
そしてそのピアノのレベルが、調律師のレベルに直結することは言うまでもありませんよね。
結果、それらのピアノがスタンダードな音となって子供たちの脳に刷り込まれてしまい、こともあろうかこのメーカーのピアノは「明るくてキラキラした音」「輝くようなブリリアントなサウンド」と思い込んでしまうという、呆れた常識が出来上がっています。これはもはや罪ですよ!
おいっ、YAMAHA!! ヾ(*`Д´*)ノ"彡☆ ←あっ…つい書いてしまった。(爆)
最初からどうしようもない無名中国産ピアノなら仕方ないにしても、然るべき調律を施せば、世界が唸るほどの素晴らしい音色が出るピアノなのにですよ?
日本が世界に誇る大企業のこの惨状に、ボクは憤りさえ感じています。
日本のサラリーマン調律師は、トップクラスを除くとほとんどはこの程度のレベルなのです。
ならば、自分で勉強して道具揃えて調律した方がまだマシだと思いませんか?(-_-;
ですから、結論としては…
この類の調律師はすごくないし、むしろこの世に要らない存在です。
ちなみに、調律師として仕事をするのに資格は要りませんが、≪ピアノ調律技能士≫と名乗るためには国家試験にパスしなければなりません。
現在の日本の調律師は約6,000人、そのうち国家資格を有する人間は3,000人と言われています。
どんな調律師さんがオススメなの?
調律に関しては当たり前のことですが、整調・整音・修理という作業にきちんと正面から向き合っている、勉強熱心で『ピアノ愛』が大きい調律師さんを選ぶこと。←もう、これにつきます。
前にも述べたように、ピアノは生き物です。
ライン工場で量産されているピアノたちは、出荷されるときの品質や状態には、殆どといっていいくらい、見事にバラツキがありません。
しかし、その後どんな環境下でどんな弾かれ方をされるかによって、数年後にはそれぞれが全く違った性格に育ってしまいます。
量産タイプのピアノですらそうなのですから、ヨーロッパの伝統的な工程で手作りされた高級ピアノであれば尚更ですよね。
そこで必要となってくるのが、信頼できる調律師です。
ピアノが望み通りの状態ならば、担当してくれている調律師にその状態を記録してもらい、それをベースにもっと良くしていくことも可能ですよね。
逆に、気に入らないのであれば、オーバーホールやその後のプレップアップまで手間とお金がかかる作業からやり直す選択もできます。
こういった要望や相談を真摯に聞き入れ、そのオーナーや弾き手の理想に近づける努力を惜しまない人に、大切なピアノの調律を任せるべきだとボクは思います。
もし、そうでなかったら即刻契約を打ち切って、他の調律師さんを探してください。
最悪、ピアノが悲鳴を上げている可能性もありますからね。
いわゆる『セカンドオピニオン』ってやつです。
今、あなたの大切なピアノを調律している人は、あなたの希望する状態に少しでも近づけようと努力してくれていますか?
望んだ鍵盤のタッチ感を実現させようと、汗を拭いながら何時間もかけて整調してくれていますか?
そして何より…
ピアノに対する溢れんばかりの情熱や向上心が感じられますか?
どうか、素晴らしい調律師さんと巡り合い、あなたの愛するピアノがいつまでも極上の音色を奏でますように♪
それではまた!(^-^)/~~~
▲こんな人間的に欠陥だらけの調律師は、決してオススメできません。∩(´∀`)∩
でも漫画としてはすごく面白いですよ♪ 現在10巻まで出ています。
ピアノのカタログを眺める幸せ
おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
さて、今回も張り切って書いていきますよ~!
早速タイトルの件ですが、新聞折り込みの特売チラシを毎朝くまなくチェックする主婦ではありませんが…う~ん、いや、結構近いものがあるかな?(笑)
以前少しだけ触れたことがありますが、ボクは昨年末まで、横浜でデザイン事務所兼ピアノスタジオとして防音物件を借りていて、そこでKAWAIのグランドピアノを所有していました。
ところが、諸事情により事務所を解約しなければならなくなり、東京の自宅(戸建)では住宅メーカーの保証の問題があってピアノを設置できなかったので、泣く泣く手放したという経緯があります。
ピアノを手に入れたのは、最終的に手放した日のほんの9ヶ月前の2016年3月。
購入まで半年間かけて、自分が知る限りのメーカーのパンフレットをかき集め、ネットでいろいろ調べ上げてメールや電話で質問したり、実際に展示してあるピアノを試弾をしに行ったり…
憧れのグランドピアノを手に入れて、それを弾いている自分の姿を想像しながらワクワクの日々を送ってました。
ちょっと遡って…電子ピアノを買ったお話
ボクがピアノを始めたのは、2013年のゴールデンウィークです。
クラシック音楽はもともと大好きで学生時代から聴いていたので、ピアノを趣味にすることに関しては、能天気な性格も手伝ってか(笑)敷居が高い感じは特にしませんでした。
ただ、当時はマンション暮らしということもあり、グランドピアノはおろかアップライトでさえままならない環境だったので、電子ピアノから始めることにしました。
『電子ピアノはピアノではない。』という認識だけは最初からなぜか強かったのですが、たぶんネット情報の刷り込みでしょうね。(^^;
しかし、サンプリングとはいえショボイ音がする安物ではモチベーションも上がらないので、20万~25万の中級クラス(?)のものでYAMAHA、KAWAI、Roland、CASIO等のパンフレットを集めて慎重に検討しました。
※RolandやCASIOというピアノメーカーでない会社が電化製品として製造していることからも『電子ピアノはピアノではない。』ということがわかると思います。
▲最終的には、YAMAHA Clavinova CLP-440を無事に購入。バイエルもハノンもやらず基礎もできてない状態で、毎日毎日ショパンを練習したものです。
それでも、3ヶ月ほど練習して少しづつ上達してくると、アコースティックピアノ(生のピアノ)が弾きたくなってくるものです。週1回2~3時間、ピアノスタジオを借りて練習するようになりました。
そのうち色気が出て(笑)たまにSTEINWAYのピアノが置いてある部屋を借りたり… もうここまでくると、自分だけのピアノが欲しくなるのは当然の話です。
毎月スタジオ代で3万円近くもかかるであれば、ローンで買っちゃったほうがいいですからね。
ちょうど、事務所を借りようと計画していたので「じゃぁ、いっそのこと防音ルームを借りてピアノ入れちゃおっか!」というノリでグランドピアノを購入することにしたのです。
夢がたっぷり詰まったグランドピアノのパンフレット
さて、まずはパンフレット集めからスタート!
YAMAHA、KAWAIは当時住んでいた横浜にありましたので、CXシリーズやGXシリーズのパンフレットは簡単に入手できました。
あとは、国産であればDIAPASONがあれば資料としては十分なのですが、せっかくだから観賞用に以下の高級ピアノのパンフレットもネットで取り寄せました。
…いや、絶対に買わない(買えない)のですけどね…(笑)
Boston(ボストン)
Bosendorfer(ベーゼンドルファー)
C. Bechstein(ベヒシュタイン)
Fazioli(ファツィオリ)
PETROF(ペトロフ)
Shigeru Kawai(シゲル・カワイ)
▲こうやって並べると圧巻ですね。もうドキドキしてしまいます。d(⌒o⌒)b♪
カタログが届いてからというもの、毎晩毎晩、風呂上りにビールを飲みながらの鑑賞タイム。それがボクのルーティンワークとなりました。
そして、かねてから『ピアノは絶対黒派!』だったので、木目とかの割増料金も考える必要なく、艶々とした重厚感のある漆黒の躯体に見とれてウットリしたものです。
そのときにドクドクと溢れ出たアドレナリンのおかげで仕事も捗り、充実した日々が過ごせました。
ちなみに、最初から新品を買おうとか全然思ってませんでした。
ある程度年数が経っている中古の方が弦も安定しているし、よく鳴ってくれるという知識だけは持っていたからです。
その後、時が満ちて浜松市まで試弾に赴き、KAWAI RX-2(2004年製)という理想的な音色を奏でてくれるワンオーナーの中古ピアノを手に入れることができました。
先に書いた通り、諸事情によりたった9ヶ月という短い期間で手放すことになったのですが、その間はとても幸せなピアノライフを送ることができましたよ。(^-^)/
心にも栄養を♪
いま考えると、ピアノ購入計画がここまでボクのライフスタイルに彩を添えてくれてたなんて…
もう今後ピアノは買わずに、こういう想いを馳せる時間が持てるだけで十分じゃないかと思ったりもしますね。美味しい夢は最後の最後までとっておくっていうか。(笑)
どちらにせよ、今はグランドピアノを置ける場所もないことだし、たまには夜にピアノのカタログを眺める時間を復活させてみようかな?
今のボクにとってピアノのカタログは立派な大人のホビーであり、それを眺めることはこの上ない贅沢な時間だと思ってます♪
ささやかでも心が満たされる時間、あなたは持っていますか?
心に栄養を与える方法は、特に贅沢をしなくてもたくさんありますので、なにか夢中になれるものをひとつ探してみるのも楽しいかも知れませんよ。
それではまた!(^-^)/~~~
フォルテピアノの魅力 PART2
おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
前回のPART1では、鍵盤楽器の誕生~現代のピアノの基礎となる構造を持つ≪フォルテピアノ≫に進化るすまでの過程を解説しました。
今回のPART2はその続きとなりますが、≪フォルテピアノ≫の時代で進化を止めて、その魅力を語っていきたいと思います。
▲浜松市楽器博物館所蔵の、1830年製 PLAYEL PIANO。
これは、まさにショパンが生きていた時代に製造されたフォルテピアノです!
普段は展示されているみたいですが、レコーディングやリサイタルで実際に弾かれている今もなお現役バリバリのピアノです。(^-^)
ショパンが愛したPLEYEL(プレイエル)
PLEYEL社は、ハイドンにも師事したことがある、音楽家であり実業家でもあるイニャース・ジョセフ・プレイエルが1807年に設立したピアノ製作会社です。
そして、彼の長男であるカミーユ・プレイエルもまた優れたピアニストで、ポーランドからオーストリアを経てフランス・パリへと移ってきたショパンと非常に親交が深かったと言われています。
その後、ショパンはサル・プレイエルというPLAYEL社所有のホールにてパリデビューすることになるのですが、これがショパンとプレイエルピアノとの運命的な出逢いです。(今もこのホールはパリ8区にあり、様々なイベントが催されています。)
当時はすでに、リストが使用していたエラールという非常に優れたダブル・エスケープメントという機構を持つフォルテピアノがあったのですが、ショパンはあくまでもシングル・エスケープメントに拘りがあったようです。
また、ショパンはエラールの持つ音の派手さがあまり好きではなかったようで、それを示すような以下のような言葉を残しています。
「プレイエルは完全無欠だ。」
くぅ~~っ、かっこいい~~~!v(≧∇≦)v
ん? 待てよ…ってことは、現代のピアノがこの時代から大きく進化したのは、リストとエラール社の貢献が大きかったわけですから、もしショパンが今の時代に蘇って最先端のピアノを弾いてもお気に召さない可能性が高いってことですよね? てか、100%気に入らないでしょうね。(笑)
自身の作品には繊細なタッチを要求するショパンですから、こんな馬鹿でかい音がするピアノなんか弾けるもんか!って感じでしょうか。(^^;;
事実、ショパンは生前はもっぱらサロンでのコンサートばかりで、現代のようなオーケストラを従えて大ホールで演奏したことなどありませんでした。
自身のピアノ協奏曲にしても、ソロまたはオケパートをピアノで演奏することの方が多かったくらいなのです。
さてさて、今回も豆知識のお時間です。(笑)
このサル・プレイエルでのコンサートのお膳立てをしたのは、カミーユ・プレイエルの他に、高名なピアニスト兼指導者であったカルク・ブレンナーが挙げられます。
ショパンがポーランドにいた時代から師事していたエルスナーはカルク・ブレンナーに批判的だったのですが、当のショパン本人は、こうやって何かとサポートしてくれるカルク・ブレンナーは信頼に値する人物だったようです。
そして聴衆の中には、リストやメンデルスゾーンといった超ビッグネームが顔を揃えてました。
彼らは、ショパンのこの華々しいパリ・デビューコンサートに立ち会っていたのです。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでパリのサロン界を席巻していた青年音楽家たちが、その後同志として意気投合したのはお分かりでしょう。
なんか、もう想像しただけで背筋がゾクゾクしてきますよね!v(≧∇≦)v
ショパン+PLEYELの音色を同時に感じられるDVD
とにもかくにも、ショパンの曲はすべてが繊細で鍵盤に触れるようなタッチが要求される曲ばかりで、例えフォルテシモの指示があったとしても、リストの曲のようにガンガン弾くのは好ましくありません。
ショパン特有の美しい旋律は、時に4、5指でグリッサンドするような指遣いでレガートに囁くように弾かなければならず、そこがプレイエルのフォルテピアノと相性が良かったのでしょう。
現代のフォルテピアノ奏者として数々のピアノコンクールで優勝の経験がある小倉貴久子さんは、ショパンの曲を在りし日のまま再現してくれる希少なピアニストです。
下のDVDには、彼女の素晴らしい演奏が収録されています。
楽器の世界コレクション2 PLEYEL PIANO_プレイエルのピアノ_室内楽で聴くショパンが愛した音の世界 浜松市楽器博物館所蔵楽器“プレイエル”による[DVD]
- 出版社/メーカー: デジタルセンセーション株式会社
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: DVD
- クリック: 20回
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▲PLEYELのフォルテピアノは、現代のピアノのように大ホールでフルオーケストラと共演できる迫力のある音量は出せませんが、このDVDに収められたショパン+PLAYELは、実に甘く切なく味わい深い音色を奏で、音楽の本来の愉しみ方を教えてくれているように感じます。
収録内容の目玉は、なんといっても
≪ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11≫
なのですが、これに収められているのは珍しい室内楽版!
フォルテピアノ、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという非常にシンプルな構成です。
フルオーケストラ+フルコンサートグランドでの演奏は壮大で勿論素晴らしいのですが、室内楽版も、素朴なショパン青年の甘く切ない恋を等身大で物語っているようで、また違った味わいがあります。
なにより、当時のフォルテピアノでの演奏ですので、飾らない素顔のショパンが感じられる気がするんです。
ちなみに、このDVDに出演されている演奏家は全員が『東京藝術大学』出身です。
もう、天才で、カオスで、超絶ド変態な皆様です!(笑)
※その件については、以下の記事をご参照ください。
cosmic-classics.hatenablog.com
ショパンが生きた時代に製作され、ショパンが一生涯弾き続けたPLAYELのフォルテピアノ。
是非、あなたにもこの音色を楽しんでもらい、ショパンを聴く幸せを共有できたら嬉しく思います。
それではまた!(^-^)/~~~
フォルテピアノの魅力 PART1
おはようございます!
毎日毎日懲りもせず、クラシック関連ネタ探しに余念がないグラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
いつの日かネタが尽きたらどうしよう…なんて不安が脳裏をよぎることもありますが、ブログを始めてまだ1ヶ月しか経っていないのに時期尚早ですね。
まだまだ題材はたくさん転がってますので、まずは最初の目標『100記事エントリー』まで、できる限り毎日、出し惜しみせずに頑張ってガンガン書き続けていきますよ。
さて、今回から2回に分けて、鍵盤楽器の歴史を軽く交えながら、現在のピアノのカタチになるちょっと前の時代の≪フォルテピアノ≫について書いてみたいと思います。
実は、先日ピアノ練習に関してアドバイスを頂いたTwitterのフォロワーさんから、今回のテーマのヒントをもらいました。いつもありがとうございます~♪
ピアノの前身のお話
まず、初めてこの世に現れた鍵盤楽器は、水圧を利用して音を出す≪ヒュドラウリス≫という水オルガンでした。←空気ではなく、水ですか!w(゚o゚*)w
時は紀元前3世紀。日本はまだ弥生時代でしたので、西洋文明って凄かったんですね!
そして、その後は加圧した空気によって音を鳴らす≪パイプオルガン≫に進化しました。
パイプオルガンというと、教会や音大の講堂などに設置してある巨大なものを連想しがちですが、それだけではなく小型のオルガンも含みます。
日本では小学校の音楽の時間に習うオルガンは馴染みの深いものですが、あれは≪リードオルガン≫と言われるもので上記のパイプオルガンとは別のものです。
これをまとめると…
日本では『オルガン=リードオルガン』
西洋では『オルガン=パイプオルガン』
となります。
そこからさらに時代が進み、15世紀には≪チェンバロ≫や≪クラヴィコード≫が誕生します。
チェンバロ(ドイツ語)は、英語ではハープシコードとも呼ばれ、全く強弱をつけることができない構造でしたが、対してクラヴィコードはちゃんと強弱を付けることができたようです。
ただ、クラヴィコードは音が非常に弱い(もう本当に微々たる音量)という理由で、いつの間にかその存在そのものが無くなってしまったみたいですが…
▲こちらがチェンバロです。現代のピアノの鍵盤とは白黒が反転しててなんか新鮮ですね。電子ピアノにはサンプリングされたものが多いですが、生のチェンバロってどんな感じなんでしょうか?
ちなみに、モーツァルトやバッハが好んで弾いたのは、クラヴィコードの方だったといいます。
バッハの時代といえば、真っ先に想像するのはチェンバロなので、これはかなり意外でした。
楽器としてはかなり未熟だったクラヴィコードですが、強弱を付けられるということがアドバンテージだったのかもしれません。
ここでちょっと豆知識をひとつ…
チェンバロとクラヴィコードを同一の楽器だと勘違いして説明しているサイトをよく目にします。完全な間違いですので、鵜呑みにしないよう気を付けてくださいね。
それから、クラヴィーアという言葉もよく聞く単語ですが、これは鍵盤楽器の総称として使われるもので、特定の名称ではないようです。
※ベートーベンのピアノソナタに≪ハンマー・クラヴィーア≫という副題が付いた曲があります。
フォルテピアノへの進化
17世紀くらいになると、現代のピアノの基礎となる構造を持つ、大音量の演奏が可能な大型のものに進化を遂げていきます。
それが≪フォルテピアノ≫と呼ばれるもので、イタリアのチェンバロ製作職人であるバルトロメオ・クリストフォリという人が発明した楽器です。
クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテというのが正式名称で、これが省略されて≪ピアノ≫と呼ばれるようになったのです。
省略してくれてありがと~!ですね。こんなの長すぎて舌が回りません。(笑)
また、よくコンサートなんかの演奏者紹介で、パンフレット掲載の名前の前後に pf と付いているのを目にしますが、あれは『ピアノもフォルテも出るチェンバロ』→『ピアノフォルテ』→ pf という省略記号だそうです。もし違ってたらごめんなさい。(^^;;
しかし、フォルテピアノはチェンバロに比べて製作工程も複雑で高価、さらにそこまで出来がいいものではなかったため、残念ながらクリストフォリが生存してる間の普及はなかなか難しかったようです。
17世紀半ばを過ぎてくると、その後の改良もずいぶん進み、かのベートーベンがブロードウッド製のフォルテピアノを愛用し、数々の大作を生み出していきました。
その後のショパンやリストといったロマン派音楽を支えたのも、このフォルテピアノということになりますね。
ショパンはプレイエルを、リストはエラールを、それぞれ好んで弾いたのは有名な話です。
そして、18世紀も終わるころにはフォルテピアノはモダンピアノへと変貌を遂げていき、いよいよ現代のピアノへの最終進化に入っていきます。
…と、今回はここで時の流れをストップです。(笑)
フォルテピアノにスポットを当ててその魅力をお伝えする記事ですからね。
では、今回はそろそろこの辺で終わりにします。
次回PART2は、下のDVDにも収録されているショパンが愛した
≪プレイエル≫のフォルテピアノについてのお話です。
楽器の世界コレクション2 PLEYEL PIANO_プレイエルのピアノ_室内楽で聴くショパンが愛した音の世界 浜松市楽器博物館所蔵楽器“プレイエル”による[DVD]
- 出版社/メーカー: デジタルセンセーション株式会社
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: DVD
- クリック: 20回
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▲貴重な楽器を数多く所有する浜松市楽器博物館のDVDシリーズ。1830年製プレイエル社のフォルテピアノが素晴らしい音色を奏でます。
それではまた!(^-^)/~~~
ピアノが黒いのには何か理由があるのかな?
こんばんは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
今日も東京は非常に暑かったです。
とうとう我慢できず、仕事部屋のクーラーのスイッチを入れちゃいましたよ。(-_-;;
仕事柄一日中PCをつけっぱなので、部屋の温度がすぐに上がっちゃうんです。そんな環境ではPCだっていい影響はないでしょうしね。
とはいえ、例年だとこの時期に仮にクーラーを付けたとしても軽く除湿程度で済んでたのですが、それはいままで気密性の高いマンションだったから。
戸建に住むようになってからは(最近の木造住宅は昔より気密性が高いとはいえ)外の気温にすぐ左右されるので、クーラーのスイッチを切ると間もなく元の温度に戻っちゃいます。
クーラーって、立ち上がりが一番電気を消耗するので、あまり付けたり消したりを繰り替えすと、料金が跳ね上がってしまうらしいですね。
だったら一日中つけっぱにしておいたほうが、全然料金が安くなるみたいです。
どっちにしても、今からこんなんじゃ真夏が思いやられます。
明日からまた節制しよ~っと…
さてみなさん、いきなり本題いっちゃいますが(笑)
『ピアノ』を想像してみてください。
アップライトでもグランドでも、電子ピアノでも、なんでも構いません。
…どうですか、思い浮かべましたか?
では、ここで質問です。
ズバリそのピアノは何色ですか?
『ピアノ=黒』は、日本で刷り込まれた常識
殆どの人の想像したピアノは『黒』だと思います。それもテッカテカで艶々の。
ここで木目や白などのピアノを想像した人は、ご家庭にあるピアノがそうなのではないでしょうか?
また、下の写真のように、ごてごてのゴシック様式建築物を連想させるような彫刻だらけのピアノを想像した人がいたら、間違いなくあなたは変態です。どうぞお引き取りください。←冗談です。(笑)
▲これはクララ・シューマンが愛用した、グロトリアンシュタインウェイピアノ。
あなたが音楽の時間に習った『トロイメライ』の作曲者はクララの夫、ロベルト・シューマンです。
黒いピアノを連想するのは仕方のないことです。
だいたい、ボクたちが街や施設や学校で目にするピアノってほぼ100%が黒いピアノなんですから。
小さい頃、体育館や講堂で何かしらイベントがあるときにピアノが使われていたと思いますが、木目だのホワイトだのYOSHIKI CRYSTALだの(笑)そんなオシャレなピアノが置いてある小学校があなたの周りにありましたか?
そもそも、多くのピアノが黒いのには理由があるようです。
日本は湿気が多いので木目のピアノは適さないということで、日本の塗装技術である湿気に強い漆を使ってピアノを作り始めたこと。また、高級感もあるから一石二鳥ってワケです。その後、カシューという漆に近い天然塗料も使われました。
今でこそ、技術の進歩でポリエステルやポリウレタンの丈夫な塗料が世界中で使われてますが、その昔、西洋では黒いピアノを作るときは黒檀を貼り付けていたそうです。
▼第二の理由
単純に舞台映えするからというものです。
フォーマルな場所では、世界標準として黒い服を着ることが多いですよね。
ピアノに限らず、多くの演奏家は黒いタキシードやスーツに身を包んで演奏に臨むことが殆どです。
ですから、ピアノも…と考えられるようになったのは自然なことかもしれません。
その他、諸説が出回っていますが、何が正解なのかはここでは敢えて追求するのはやめておきます。
▲以前、この本を読んだのですが、どうも内容的に腑に落ちない箇所も多々ありました。
あくまでも参考程度にとどめた方がいいという注釈つきで、興味のある人は読んでみて下さい。
欧米諸国では木目ピアノが主流!
日本は湿気が多く、まだ塗装技術が未熟だった時代には木目が適さないということで、黒い漆塗りがスタンダードになったと紹介しました。
それだけではなく、日本ではそれ以前に鍵盤楽器の歴史がほとんどなく、ピアノとしては最終形へと進化し終えた頃に西洋から伝わってきて、黒塗りで製造をスタートさせたというのも『ピアノ=黒』となった要因のひとつでしょう。
対して、西洋の鍵盤楽器は、ヒュドラウリスと呼ばれるオルガンに始まり、古典派~ロマン派と時代が移り変わるのに合わせて、チェンバロやクラヴィコード~フォルテピアノへ進化しました。
それこそ日本には鍵盤楽器などがまだ存在しなかった時代に、すでに数百年もの歴史があったのです。
その間ずっと木目が当たり前だったのですから、日本が『ピアノ=黒』と思う以上に『ピアノ=木目』という常識が根付いているのは当たり前ですね。
それでも黒いピアノに落ち着いてしまう日本人
日本人は高度経済成長期から現代に至るまで、あまり過剰な自己主張をしない、実にシャイな人種でした。そして、奇抜な恰好を避け、できるだけ他人と同じことをし、平均的であることが美学だと教えられてきました。
こういった背景で人生を送ってきたのですから、ピアノは黒いのが一般的で木目は少数派(しかも高いし…)となれば、購入するとなると必ず黒いピアノに落ち着きます。
そして、その子供たちも然りです。
木目のピアノなんてもの自体、この世に存在するとは思ってもいませんでした。
ボクもそうです。ピアノって学校でしか見たことがありませんでしたからね。(笑)
でも、ボクは例え刷り込みだろうが、ピアノは黒がかっこいいと思ってます。
そもそも、木目のピアノって部屋を選ぶんですよ。それに合うような西洋風の民家なんて日本にはほとんど存在しないですしね。
西洋で木目がスタンダードな理由って、昔はまだまだ超高級品で一部のお金持ちにしか買えなかったワケですし、調度品としての趣きも重視してたからじゃないの?って思うんです。
単体で見たら確かに木目のピアノって美しいし素敵ですけど、何事もコーディネイトって大事です。
なので、結論として…
日本では『ピアノ=黒』上等!(笑)
ということで、今日の話を〆たいと思います。
それではまた!(^-^)/~~~
世界に響け ~KAWAI TONE~
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
昨日は、4/30に開設してから毎日更新していた投稿がストップしちゃいました。
実は、妻が5/13の夜、無事に第一子を出産いたしまして、そのお産に立ち合ってました。
お産は壮絶で、本当に命懸けなんですね。
妻の果敢に戦う姿を目のあたりにして、生まれた瞬間に、これでもかという位の大量の涙が溢れました。
女性って言葉に表せないくらい偉大です! 心から尊敬します!
ボクの尊敬するランキング第一位は両親で、第二位はショパン。
これは今までずっと不動のもので、ずっと変わらないと思っていたのですが、今回のお産立ち合いで尊敬するランキング一位に妻が躍り出ちゃいました。
本当にお疲れ様、そして五体満足で元気な赤ちゃんを生んでくれてありがとう。
これからお産を迎える奥様を持つパートナー様に伝えたいことがあります。
是非、会社をお休みしてでもお産に立ち合ってください。奥様も心強いはずだし、パートナー様も貴重な経験になり、もっともっと家族の絆が深まると思います。
さて、またまた前置きが長くなりましたが…今回は日本のピアノメーカーの続きです。
前回のYAMAHAについての記事内でも書きましたが、現在の日本のピアノは世界中で賞賛され、ピアノ愛好家から高い評価を受けています。
そこで、今回はもう一つの日本の一流ピアノメーカーである≪KAWAI(カワイ)≫について語っていきたいと思います。
KAWAI(株式会社 河合楽器製作所)
1927年(昭和2年)に河合小市(かわいこいち)という人が静岡県浜松市で設立した、現在のピアノではYAMAHAに次いで世界第二位のシェアを誇る企業です。
日本の二大ピアノメーカーが、世界シェア第一位と第二位を占めているのですから、日本人として本当に誇らしいですね!
また、スタインウェイの第二のブランドである≪BOSTON≫のOEM生産でも知られています。
この河合小市さん、もともとYAMAHAに勤めていて、当時オリジナルのピアノアクション製作を国内で初めて成功させた才能溢れる方だったそうです。そして、若干21歳でYAMAHAのピアノ部門長になったという素晴らしい経歴の持ち主で、『発明小市』というニックネームまであるそうですよ。
ですからKAWAIとYAMAHAは、ピアノ作りの思想や精神としては兄弟会社みたいなものですよね。
KAWAIの創業時~2016年までの生産台数は・・・2,686,000台!
※参考:YAMAHA=6,420,000台、STEINWAY & SON=603,000台
そしてYAHAHAと同じように、KAWAIもまた1985年の第11回 ショパン国際ピアノコンクールをきっかけに、世界マーケットに進出。その名を広く轟かせるようになります。
そのYAMAHAのショパコンでの大躍進は以下の過去記事をご覧ください。
cosmic-classics.hatenablog.com
KAWAIピアノの優しい音色
YAMAHAピアノの明るく華やかな音質に対し、KAWAIはまろやかで芳醇な甘い音がするといわれています。ボクも実際に両者を弾いて、概ねその通りだと感じます。
それが『カワイトーン』と呼ばれる音色。
ボクが、グランドピアノを買うときにいろいろと試弾してみて、KAWAIのピアノにしようと思ったのはこの音があればこそでした。
このKAWAIのピアノで、大好きなショパンのピアノ曲が思い通りに弾けたら…ひとりで想像しながらニヤニヤしたものです。
ベートーベンの時代からピアノの大型化が進み、すでにショパンの時代には大音量が出せる『フォルテ・ピアノ』というものに進化していました。
でも、ショパンは決して大音量でピアノを弾くことはなく、鍵盤を優しく撫でるように、慈しむように弾いたそうです。
こんな話を聞くと、ショパンがどんなピアニッシモを弾いたのか、実際に聴きたくてたまらなくなります。でも、音源など存在しないので絶対に叶いませんけどね。(笑)
そういったエピソードを知っていたので、自分の中のピアノの選定基準として『ショパンをKAWAIの音色で…』と直感的に思ったのかもしれません。
最終的に、2004年製のKAWAI RX2(中古)を購入しました。優秀な調律師さんにきちんと調整されていて、思った通りの音色を奏でるピアノを手に入れることができたのは幸運でした。(^-^)
SHIGERU KAWAIの登場
故・河合滋(かわいしげる)さんは、創立者である故・河合小市さんの息子さん(娘婿)で、社長~会長の責務を全うした人です。
≪SHIGERU KAWAI≫(以下SKシリーズ)は、その名前を持ったピアノですから、KAWAIのフラッグシップモデルという位置付けです。
このロゴデザインに関しては賛否両論ありますが…それは敢えて触れないでおきましょう。(笑)
ちなみに、一般的に普及しているKAWAIピアノのロゴは『K.KAWAI』となっているものがありますが、これは河合小市さんの頭文字です。
≪SHIGERU KAWAI≫の、その徹底的にピアノ作りにこだわり抜いたクラフトマンシップ溢れる革新的な技術は、ここで説明するのは陳腐すぎますので、以下の公式ページをご覧ください。←まる投げ(^^;;
SHIGERU KAWAI - グランドピアノ - 河合楽器製作所(外部リンクへ)
SKシリーズにも当然大きさとその他仕様の違いで『SK-1、2、3、5、6、7』というラインナップがあり、コンクールやコンサートの専用としてSK-EXというものもあります。
ボクが以前試弾したのは7を除く、SK-1、2、3、5、6、EX。(ラッキーにも表参道のKAWAIの奥の部屋で弾かせて頂きました。)
SKシリーズ全般に言えるのは、音の粒立ちが非常にクリアで、通常のKAWAIに比べるとキラキラとした音色が特徴であること。実に多彩な表現が可能なピアノだということ、そして通常のピアノでは決して感じることのない、格調高い雰囲気を醸し出していました。
よくピアノのサイズの違いで音が変わってくるという話は聞きますが、このSKシリーズにもそれは当てはまります。SK-5以上のサイズとそれ未満のサイズとは、ピアノとしてまったくの別物ですね。
しかも、SK-EXとか、もう…いろんな意味で化け物です!
表参道へ行ける方はKAWAIのお店へ足を運んで、是非、SKシリーズを弾いてみてください。その圧倒的パフォーマンスに驚かれると思います。
MPAの小宮山 淳さん
MPA(マスター・ピアノ・アーティザン)というのは、最高のコンサートチューナーにしか附与されないKAWAIの社内資格です。
その選ばれたコンサートチューナーの中でも頂点を極める小宮山 淳さんに、昨年幸運にもお会いできる機会がありました。
お話すると本当に優しくて、その雰囲気からも人柄の素晴らしさが滲み出ていました。やっぱり、一流の方は違うなぁって。
小宮山さんは、NHK-BS1スペシャル『もうひとつのショパンコンクール』(トップ調律師にスポットを当てたドキュメンタリー番組)で、KAWAIの代表として特集されています。
権利の関係もあるので、YouTubeにアップされているかどうかは分かりませんが… ご興味のある人は、ググッてみてくださいね!
番外編・YAMAHAの功罪
YAMAHAを弾く人からみれば、KAWAIの音は大人しくて、弾いていて物足りなさを感じるのかもしれません。それは分からなくはないです。
ただ、それが単にブリリアントさに欠けるだの、音量(音圧)不足だの、そういった低次元な問題にすり替えられると『ちょい待ち! それ論点が音の本質から外れてる。』となります。
以前も書いたように、日本のピアノは高品質でポテンシャルがすこぶる高いのですが、反面、技術者のメンテナンスに対する意識レベルの低さと力量不足で、街にはとてもひどい状態のピアノが溢れ返っています。
そして、その大半が世界シェア断トツ第一位のYAMAHAのピアノが占めているのです。
これは大いに問題にすべきです。
十分にメンテナンスされていないYAMAHAピアノで小さいころからレッスンを積み重ね、その音が当たり前(デフォルト)の音だと脳に刷り込まれ続け大人になっていく…残念ながらそういった人がとても多いのです。
サラリーマン調律師にテキトーに調整されたキンキン・ガンガンとした音に慣れた人(あえて犠牲者と言わせて頂きます。)が、KAWAIの音に地味さや物足りなさを感じるのは至極当然な話ですよね。(-_-;; いい加減にしろし。
これはあくまで一般論です。
優秀な調律師に丁寧にメンテナンスされたYAMAHAのピアノは、それはそれは素晴らしい極上の音色を奏でるのですよ。
ボクのYAMAHA愛はかなり強いです。
ですから、KAWAIの記事にも拘わらず、あえてこの点について強く主張させて頂きました。
さていかがでしたでしょうか?
こんど機会があれば、YAMAHAとKAWAI以外のピアノメーカーについても書かせて頂きますね。
それではまた!(^-^)/~~~