クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

別れの曲 ~ショパン名曲集:レビュー

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

前回、最初に聴いてほしいピアノ曲集(CD)を紹介させて頂きました。

別れの曲~ショパン名曲集

別れの曲~ショパン名曲集

 

 

今回はボクなりにこの収録曲について、一曲づつ解説させて頂きたいと思います。

でも、その前にちょっとだけ前振りさせてください(笑)

 

ショパンピアノ曲の魅力とは?

一般的に、音楽というものには『歌詞』がつきものですよね。
作曲家やアーティストたちは、自分の言葉や気持ちをメロディーに乗せて、優しく語りかけたり、悩みを告白したり、感情を爆発させたり、自己完結してみたり…様々な方法で心情を表現しているわけです。
それに対して聴き手は、投げかけられたメロディーや歌詞の内容を自分に置き換えてみて、感情移入しやすかったり共感できるものを好んでチョイスしていきます。

さて、クラシック音楽であるショパンピアノ曲の場合はどうでしょう?
声楽といわれる分野に関しては歌詞が付いていますが、ショパンピアノ曲には具体的な情景をつづった『歌詞』というものは存在しません。
でも、それが逆に聴き手に自由を与えてくれているのです。
例えば同じ曲を聴いて、ある人は広大な大海原を連想するかもしれないし、またある人は燦々と照りつける太陽のエネルギーを感じとるかもしれません。あるいは、桜並木を散歩しているときに突然の強風で乱れ散る桜の花びらを連想する人もいるかもですね。
そして、ショパンの美しいメロディーは万国共通。言葉の壁も軽く超えてしまいます。

このように、言葉で限定されることなく、自分で自由に想いを馳せたり、好きな情景を描くことができるのがショパンをはじめとするクラシック音楽の素晴らしいところだとボクは思います。

 

別れの曲 ~ショパン名曲集 の解説

ということで、この流れでいけば
「では、みなさん。お好きな時間にお好きなシチュエーションで、あなたの感性をもってショパンの名曲を感じてくださいね♪」
ってことになるのでしょうが…いやっ、そこは多少語らせてください!(笑)

ショパン作品を一通り聴いてはいるものの、専門家でも音大出身でもない単なるド素人ですので「それは違うでしょ~!」って表現もあるかと思いますが、どうぞひとつ目をつぶって見逃してください。(笑)
たくさんウンチクを書くとボロがでるので、サクサクっと書いていきますね。

 

1.ワルツ 第1番 ≪華麗なる大円舞曲≫

クラシック音楽初心者の人が、一番聴きやすいと感じるのがワルツでしょう。
最も貴族的なサロン音楽ともいわれるワルツの第1番を飾るのが、この≪華麗なる大円舞曲≫です。
全体的に、非常に歯切れがよく明るくて華やか。当時も出版されたと同時に人々が熱狂したそうです。
ショパン社交界での華麗な振る舞いが目に浮かびますね。
余談ですが、日本人が実際に弾くとなると非常に難しいのが3拍子。持って生まれたセンスと然るべき教育を受けた人しか弾きこなせないと思います。

 

2.ワルツ 第6番 ≪小犬のワルツ≫

小学校の音楽の時間を一番思い出させてくれる曲ではないでしょうか?
ショパンの恋人であったジョルジュ・サンドの飼っていた犬が、自分の尻尾を追っかけてクルクルとまわる様子を曲にしたと伝えられてます。
終始、非常に軽快なテンポで書かれているチャーミングなワルツです。

 

3.ワルツ 第7番

副題がないのですが、広く親しまれている有名な曲です。
ボクはこの曲を初めて聞いた瞬間に、ショパンの虜になってしまいました。
なんて華麗で、かつ憂いを含んだ深い曲なんだ!と。確か小学5年生くらいだったと記憶してます。
そして、ショパンの中で一番初めにピアノで弾いた曲でもあります。今でもこの曲弾きますよ♪
これを流れるように弾きこなせたら…シャイなあなたも彼氏彼女が絶対できます!
頑張ってチャレンジしてみてはいかがでしょう?(笑)

 

4.即興曲 第4番 ≪幻想即興曲

クラシックピアノを弾き始めた人ほぼ全員(?)が「これが弾けるようになりたい!」と憧れるであろう超ド定番曲です。
一瞬の風が木の葉をざわめかせる様な、揺らぎともとれる主題が印象的で、一度聴いたら忘れることができません。
しかし、ボク的にはむしろ、≪幻想即興曲という名前の通り、中間部の幻想的でうっとりするような甘美な旋律こそがこの曲の醍醐味だと思います。そしてその旋律は、最後の最後に低音部で消えるように再現されます。
前曲のワルツ第7番に加え、これが弾けたら意中の人のハートに確実にとどめが刺せると思いますので、これも挑戦する価値はあります。(笑)
ちなみに、どちらも嬰ハ短調C#m)です。この調の持つ不思議な力を感じます。

 

5.練習曲 第3番 ≪別れの曲≫

ショパン自身「かつてこれほどまでに美しい旋律を書いたことがない。」自画自賛したほど美しい曲です。
エチュードは日本語にすると『練習曲』となり、なんだか地味なイメージですが、ショパンエチュードは、ヴィルトゥオーゾ(超絶技巧)指向。要は、表現力・テクニックともにエベレスト並みの高みを極めるための練習曲なのです。
全部で24曲(+3曲)あるエチュードの中で、≪別れの曲≫は、美しい旋律を最大限に引き出す表現力を要する提示部、複雑で高度な技術を要する中間部、どちらもピアニストにとって生半可なレベルでは弾きこなせない難曲です。
参考程度に書かせて頂くと、CDのタイトルにもなっているこの≪別れの曲≫は日本だけの呼び名です。

 

6.練習曲 第5番 ≪黒鍵≫

全編に渡って右手は黒鍵のみで弾かれています。(一音だけ白鍵を弾きますが。)
ショパンは、「それを知らない人が聴いても退屈で面白くない曲だ。」と言ったそうですが、そんなことはありません。
たくさんのビー玉を床にブチまけた感じの楽しい曲です。(笑)←聴いてみたらきっと納得できますよ。

 

7.練習曲 第12番 ≪革命≫

ショパンが祖国ポーランドを離れたあと、ロシア制圧下にあったポーランドの同志たちが革命を起こしますが失敗に終わります。その知らせを受けたショパンが、ありったけの絶望感と、革命に参加できなかった悔しさをピアノにぶつけた曲とされています。
冒頭の不協和音から、断末魔とも感じ取れるショッキングなコーダ部分まで、終始圧倒されてしまいます。
ちなみに、この≪革命≫という副題はショパンと同世代に生きた有名な作曲家、フランツ・リストが付けた名前らしいです。
 

8.練習曲 第23番 ≪木枯らし≫

非常に壮大なスケールで書かれた超絶技巧を要する曲で、平均的なピアノ上級者でもおかしな演奏をしたりします。
副題の≪木枯らし≫が示す通り、右手の細かく動く分散和音がまるで枯葉が舞い上がる様子を表現しているようです。
小難しいことは書けませんが、魂が揺さぶられる名曲です。

 

9.前奏曲 第15番 ≪雨だれ≫

病床に伏して、身も心も衰弱しきってたショパン
ある日、恋人であるジョルジュ・サンドと子供たちが外出したのですが、豪雨にみまわれてしまいます。
どんだけマイナス思考なのかわかりませんが、なかなか彼女たちが帰ってこないので「落雷にあって死んでしまったのでは!?」(笑)と思い込んで作った曲らしいです。
実際、中間部、重すぎでしょ…って感じです。(^^;
でも、最後は彼女たちが無事だったので、雨があがって雲の隙間から一筋の光が差し込む様な終わり方になってます。

 

10.夜想曲 第1番

夜想曲ノクターン)は、美しく抒情的な旋律と装飾音が特徴で、まさにピアノの特性を最大限に引き出す様式です。
この第1番は、ショパンが21才の頃の作品。甘く切ない感情がギュッと詰まった、夢見る青年の表情が垣間見えるような曲です。

 

11.夜想曲 第2番

≪小犬のワルツ≫と並んで音楽室を思い出させてくれる、ノクターンの中で一番有名な曲です。時代を問わず、テレビやラジオから流れてくる曲なので、逆に知らない人を探す方が難しいかもしれませんね。
メジャーな響きの中にもメランコリックな感情が見え隠れする、押しも押されぬ名曲中の名曲です。
ちなみに、ノクターンは全部で20曲(遺作含む)あり、この第2番はそのなかの1曲にすぎません。フィギュアスケートで真央ちゃんが第2番で演技していたということもあり『ノクターン=この曲』と認識している人がたくさんいます。
まぁ、間違いではありませんが正解でもありません。

 

12.舟歌

舟歌(バルカロール)という表題を持つ曲は、結構いろんな作曲家が書いています。
調べてみると、この舟歌というのは、元々はベネツィアのゴンドラの船頭の歌らしいのですが、ボクはショパン舟歌が最高傑作であると断言します。
大きくゆったりとした左手の揺れにのって、巧みに織りなされる美しくも感傷的でゆるやかな旋律は、いつまでも身を委ねていたい感覚に誘います。

 

13.子守歌

天にも昇るような美しい子守歌。
左手はずっと同じ。どこまでもどこまでも繰り返します。その伴奏の上にフワフワとした夢心地なメロディーが展開されていきます。
きっとみんな眠くなります。そして、間違いなく寝ます。ええ、だって子守歌ですから(笑)

 

14.マズルカ 第5番

マズルカポーランドに古くから伝わる民俗舞踊です。
ワルツと同じ3拍子ですが、その独特のアクセントから特に東洋人には難しいリズムだと言われています。
※あくまでも演奏するときの話で、聴く分には全然大丈夫ですよ。変拍子プログレの方がよっぽど難解です。(笑)
マズルカは全部で60曲くらいあります! それだけ、ショパンは祖国を愛し、マズルカを愛していたのでしょう。
しかしながら、ショパン作曲のマズルカのほとんどは鬱々としたものが多く、華やかなワルツとは正反対な印象があります。そんな中、この第5番は明るくて躍動感があり生命力がみなぎってます。

 

15.ポロネーズ 第3番 ≪軍隊≫

ポロネーズというのもポーランドに伝わる舞曲で、元は貴族の行進曲だったみたいです。これで踊れって言われても困りますけど。(笑)
副題通り、銃を掲げた軍人たちが民衆の前を堂々と行進している様が目に浮かぶようです。
しかし、ショパンにしては非常に単調で、起伏に乏しい構成だと思います。個人的には可もなく不可もなく…な曲です。

 

16.ポロネーズ 第6番 ≪英雄≫

ショパンの代表的なポロネーズ全7曲の中で、最高傑作にして最大レベルの演奏テクニックを要する≪英雄≫は、ボクにとって160を超えるショパンの全ピアノ曲中、5本指に入る大好きな作品です。
この堂々たる風格、壮大な構想、漲る生命力!
何か行動を起こすとき、この曲を聴いて自分を奮い立たせています。

 

以上が全16曲の簡単な解説です。
このCDの収録曲には副題がついているものが多いですが、ショパン自身がつけたものはほとんどありません。むしろショパンは曲に副題をつけることを嫌っていたといわれています。
どうやらショパンの取り巻きには、民衆に多大な影響を与える芸術家が多かったので、そんな人たちのちょっとした発言がもとになっていたり、ひどい例だと出版社が勝手につけたりしてたらしいです。困ったもんだ…(^^;
でも、今こうやって副題が当たり前のようについて回り、時代を超えて語り継がれているので、それはそれで結構なことなのかな。。。
どうなんでしょう、ショパン様??(笑)

※副題にまつわるエピソードを調べてみると結構興味深い話が出てきますので、そのうちまとめて記事を書いてみようと思います。(^o^)/

 

何度も言いますが、この曲集は超有名なものばかりですので、ネット上にサンプル音源は山のように落ちてますし、YouTubeであれば全編を通して聴くこともできますので、まずは試聴してみるのもいいかと思います。
ショパンになにかしら感じるものがあれば、それは神様からの素敵な贈り物だと思います。きっと、あなたの感性に彩を、あなたの人生に華を与え続けてくれることでしょう。
これからもショパンCDのレビューや、曲にまつわるエピソードを書き綴っていきますので、是非いろいろな曲を聴いてみて下さいね。

 

長々と読んでくださって本当にありがとうございます!
それではまた!(^-^)/~~~