日本のヤマハが世界のYAMAHAになった日
こんばんは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
先日は、ヨーロッパのピアノメーカーの中でも≪世界3大ピアノ≫と名高い、
『STEINWAY & SONS(スタインウェイ・アンド・サンズ)』『Bosendorfer(ベーゼンドルファー)』『C. Bechstein(ベヒシュタイン)』について、手元にある数少ない資料をもとに自分なりに整理して書かせて頂きました。もしご興味がある方は、ぜひ以下からどうぞ♪
cosmic-classics.hatenablog.com
さて、今回は日本のピアノメーカーについてのお話です。
近年、日本のピアノは品質面と価格面で、世界中のピアノ愛好家から軒並み高い評価を受けています。
代表的なピアノメーカーとしては『YAMAHA(ヤマハ)』『KAWAI(カワイ)』といった2大メーカーを筆頭に、『DIAPASON(ディアパソン)』『東洋ピアノ』などが挙げられます。
それ以外にも、歴史あるクラフトマンシップ溢れるメーカーや、小さくて無名な工房等も結構ありますが、資料がなかなか手に入らないため情報提供ができませんので、残念ですがここでは割愛します。
ですので、現存するピアノメーカーが一体どれくらいあるのか、ボクには正直よくわかりません。
聞いた話ですが、戦後~現在に至るまで、日本国内に大小あわせて延べ100社を超えるピアノメーカーが存在したらしいです。凄いですね!
では早速、各メーカーについて書いていきますのでお付き合いください。
YAMAHA(ヤマハ株式会社)
1897年(明治30年)に山葉寅楠(やまはとらくす)という人が静岡県浜松市で設立した、現代のピアノでは世界一のシェアを誇るグローバル企業です。
後にオートバイや音響機器、スポーツ用品などの部門で次々と事業展開してますので、まず知らないという人はいないでしょう。
ピアノは、欧米諸国ではオールハンドメイドが主流で、年間生産量も限られているため、高級な楽器であると同時に贅沢な調度品でもありました。
YAMAHAのすごいところは、そのピアノを工業製品として位置付けて、高品質を保ちながらもライン生産方式による量産化を成功させたことです。
ちなみに、創業時~2016年までの生産台数は・・・6,420,000台!
STEINWAY & SONSの総生産台数は603,000台ですから、実に10倍もの差があります。これにはビックリです!(゚◇゚;)どんだけ作ってんですか。
YAMAHAピアノの特徴は、どこまでも煌びやかで華やかな音質にあります。
特に大きなホールでは他のピアノメーカーに比べその特性が顕著に表れるので、コンクールやコンサート向けだとも言えるでしょう。
そんなYAMAHAですが、決して最初から世界で認められたわけではありません。
むしろ「伝統あるヨーロッパのピアノを、東洋人が作れるものか!」的な目で見られていたのです。
YAMAHAにとって、世界で初めての檜舞台
あなたは、ショパン国際ピアノコンクール(以下ショパコン)をご存知でしょうか?
ショパンの名を冠に持つ、ポーランド・ワルシャワで5年に1度だけ開催される、世界で最も有名な国際ピアノコンクールです。
他のコンクールと違うのは、ショパンの曲だけで優勝を争うというところ。そして、優勝すれば一躍世界的ピアニストとして将来が約束される可能性が極めて高いというところでしょうか。
とにかく、このショパコンが行われている間は、ポーランドに世界中からの注目が集まります。
1985年に開催された第11回大会の様子は、日本ではNHKでドキュメンタリー番組として放送されたので、優勝者『スタニスラフ・ブーニン』が日本中に巻き起こした、いわゆるブーニン・フィーバーを記憶している人も多いのでは?
ブーニンは当時最年少の19歳、とにかく才能溢れる天才肌のピアニストでした。残念ながら…今は、ピアノの上手な普通のオッサンに成り下がりましたけど。(涙)
それは置いといて、この回は日本の2大メーカー『YAMAHA』と『KAWAI』がショパコンの公式ピアノとして採用されるという、記念すべき回となったのです。素晴らしい!
しかし、まだまだ海外の反応としては疑心暗鬼。どんなものかと色眼鏡で遠巻きに見られて、やはり『スタインウェイ』や『ベーゼンドルファー』を選ぶコンテスタントが多かったのは仕方のないことでしょう。
(コンクール参加者は事前に試し弾きをして、その中から好きなピアノを選んで本番に臨むという流れになっています。)
しかし、そこで助けになったのが、日本人コンテスタントたちの躍進でした。
この第11回に参加した日本人コンテスタントの数は正確にはわかりませんが、参加している国の中では断トツに多かった気がします。
故に、彼らにとって日頃から弾きなれた国産ピアノをコンクール本番でも弾けるということで、ピアノの選定基準としては十分だったのかも知れません。
最終的に決勝まで残った日本人は小山実稚恵さん(結果は4位入賞!)のみでしたが、彼女は『スタインウェイ』を選択してましたので、YAMAHAのピアノが決勝で響き渡ることはありませんでした。
▲彼女の決勝でのショパン ピアノ協奏曲第一番は、それは美しく見事なものでした。
これは2010年に録音されたものですが、研鑽を積み続け、もともと持っていた類まれなる深い表現力で聴く人を魅了します。
世界的な名声を確固たるものにしたYAMAHA
しかしショパコンへの参加という大きな挑戦は、YAMAHAのピアノが国際的に認められ、また世界中の超一流のアーティストたちに愛されるまでの長い道のりの、大いなる第一歩になったことに間違いはありません。
以降、毎回ショパコン公式ピアノとして責務を果たしながらも着実に進化し続け、今では日本人よりもむしろ海外ピアニストの方が進んで選択するようになりました。
そして、直近2015年のショパコンにおいて、決勝を除く第3予選まではスタインウェイと人気を二分する形で、多くのコンテスタントがYAMAHAのピアノを選択し、過去最大級の評価を得たのです。
また、昔と違って、近年のショパコンは『YouTube』を使ってライブ放送までされるようになりましたが、ピアノの音色まで聴きわけることができるくらいの高音質になったことは驚きでした。これもYAMAHAピアノの極上の音色が、さらに世界中の人たちに認められたひとつの要因になっているかも知れませんね。
ボクも、遠いポーランドの聖地・ワルシャワ国立フィルハーモニーホールで、国家の威信を賭けて乗り込んできた世界中の猛者たちが、日本のメーカーであるYAMAHA渾身のフラッグシップモデル『CFX』を弾く姿を見て、何とも誇らしい気持ちになりました。
この血の滲むような何十年にも及ぶYAMAHAの企業努力…日本人はやっぱりスゴイ!
そして、これからもYAMAHAは進化の歩みを止めることなく、戦い挑戦し続けるのでしょう。熱い!激アツです!
なんだか、伝えたいことの半分も表現できてない気がしますが、かなり話が暑苦しくなってきたと今気付きましたので(笑)この辺で終わりにしたいと思います。
さていかがでしたでしょうか?
次回は、ボクもグラウンドピアノを所有していた、もう一つの国産ピアノメーカー『KAWAI』についてお話したいと思います。
それではまた!(^-^)/~~~