クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

世界に響け ~KAWAI TONE~

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

昨日は、4/30に開設してから毎日更新していた投稿がストップしちゃいました。
実は、妻が5/13の夜、無事に第一子を出産いたしまして、そのお産に立ち合ってました。

お産は壮絶で、本当に命懸けなんですね。
妻の果敢に戦う姿を目のあたりにして、生まれた瞬間に、これでもかという位の大量の涙が溢れました。
女性って言葉に表せないくらい偉大です! 心から尊敬します!

ボクの尊敬するランキング第一位は両親で、第二位はショパン
これは今までずっと不動のもので、ずっと変わらないと思っていたのですが、今回のお産立ち合いで尊敬するランキング一位に妻が躍り出ちゃいました。
本当にお疲れ様、そして五体満足で元気な赤ちゃんを生んでくれてありがとう。

これからお産を迎える奥様を持つパートナー様に伝えたいことがあります。
是非、会社をお休みしてでもお産に立ち合ってください。奥様も心強いはずだし、パートナー様も貴重な経験になり、もっともっと家族の絆が深まると思います。

さて、またまた前置きが長くなりましたが…今回は日本のピアノメーカーの続きです。
前回のYAMAHAについての記事内でも書きましたが、現在の日本のピアノは世界中で賞賛され、ピアノ愛好家から高い評価を受けています。
そこで、今回はもう一つの日本の一流ピアノメーカーである≪KAWAI(カワイ)≫について語っていきたいと思います。

 

KAWAI(株式会社 河合楽器製作所

 

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1927年(昭和2年)に河合小市(かわいこいち)という人が静岡県浜松市で設立した、現在のピアノではYAMAHAに次いで世界第二位のシェアを誇る企業です。
日本の二大ピアノメーカーが、世界シェア第一位と第二位を占めているのですから、日本人として本当に誇らしいですね!
また、スタインウェイの第二のブランドである≪BOSTON≫OEM生産でも知られています。

この河合小市さん、もともとYAMAHAに勤めていて、当時オリジナルのピアノアクション製作を国内で初めて成功させた才能溢れる方だったそうです。そして、若干21歳でYAMAHAのピアノ部門長になったという素晴らしい経歴の持ち主で、『発明小市』というニックネームまであるそうですよ。

ですからKAWAIとYAMAHAは、ピアノ作りの思想や精神としては兄弟会社みたいなものですよね。

KAWAIの創業時~2016年までの生産台数は・・・2,686,000台!
※参考:YAMAHA6,420,000台STEINWAY & SON=603,000台

そしてYAHAHAと同じように、KAWAIもまた1985年の第11回 ショパン国際ピアノコンクールをきっかけに、世界マーケットに進出。その名を広く轟かせるようになります。
そのYAMAHAのショパコンでの大躍進は以下の過去記事をご覧ください。

cosmic-classics.hatenablog.com

 

KAWAIピアノの優しい音色

YAMAHAピアノの明るく華やかな音質に対し、KAWAIはまろやかで芳醇な甘い音がするといわれています。ボクも実際に両者を弾いて、概ねその通りだと感じます。
それが『カワイトーン』と呼ばれる音色。
ボクが、グランドピアノを買うときにいろいろと試弾してみて、KAWAIのピアノにしようと思ったのはこの音があればこそでした。
このKAWAIのピアノで、大好きなショパンピアノ曲が思い通りに弾けたら…ひとりで想像しながらニヤニヤしたものです。

ベートーベンの時代からピアノの大型化が進み、すでにショパンの時代には大音量が出せる『フォルテ・ピアノ』というものに進化していました。
でも、ショパンは決して大音量でピアノを弾くことはなく、鍵盤を優しく撫でるように、慈しむように弾いたそうです。
こんな話を聞くと、ショパンがどんなピアニッシモを弾いたのか、実際に聴きたくてたまらなくなります。でも、音源など存在しないので絶対に叶いませんけどね。(笑)

そういったエピソードを知っていたので、自分の中のピアノの選定基準として『ショパンをKAWAIの音色で…』と直感的に思ったのかもしれません。
最終的に、2004年製のKAWAI RX2(中古)を購入しました。優秀な調律師さんにきちんと調整されていて、思った通りの音色を奏でるピアノを手に入れることができたのは幸運でした。(^-^)

 

SHIGERU KAWAIの登場

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故・河合滋(かわいしげる)さんは、創立者である故・河合小市さんの息子さん(娘婿)で、社長~会長の責務を全うした人です。
≪SHIGERU KAWAI≫(以下SKシリーズ)は、その名前を持ったピアノですから、KAWAIのフラッグシップモデルという位置付けです。
このロゴデザインに関しては賛否両論ありますが…それは敢えて触れないでおきましょう。(笑)
ちなみに、一般的に普及しているKAWAIピアノのロゴは『K.KAWAI』となっているものがありますが、これは河合小市さんの頭文字です。

≪SHIGERU KAWAI≫の、その徹底的にピアノ作りにこだわり抜いたクラフトマンシップ溢れる革新的な技術は、ここで説明するのは陳腐すぎますので、以下の公式ページをご覧ください。←まる投げ(^^;;

SHIGERU KAWAI - グランドピアノ - 河合楽器製作所(外部リンクへ)

SKシリーズにも当然大きさとその他仕様の違いで『SK-1、2、3、5、6、7』というラインナップがあり、コンクールやコンサートの専用としてSK-EXというものもあります。
ボクが以前試弾したのは7を除く、SK-1、2、3、5、6、EX。(ラッキーにも表参道のKAWAIの奥の部屋で弾かせて頂きました。)

SKシリーズ全般に言えるのは、音の粒立ちが非常にクリアで、通常のKAWAIに比べるとキラキラとした音色が特徴であること。実に多彩な表現が可能なピアノだということ、そして通常のピアノでは決して感じることのない、格調高い雰囲気を醸し出していました。

よくピアノのサイズの違いで音が変わってくるという話は聞きますが、このSKシリーズにもそれは当てはまります。SK-5以上のサイズとそれ未満のサイズとは、ピアノとしてまったくの別物ですね。
しかも、SK-EXとか、もう…いろんな意味で化け物です!

表参道へ行ける方はKAWAIのお店へ足を運んで、是非、SKシリーズを弾いてみてください。その圧倒的パフォーマンスに驚かれると思います。

 

MPAの小宮山 淳さん

 MPA(マスター・ピアノ・アーティザン)というのは、最高のコンサートチューナーにしか附与されないKAWAIの社内資格です。
その選ばれたコンサートチューナーの中でも頂点を極める小宮山 淳さんに、昨年幸運にもお会いできる機会がありました。
お話すると本当に優しくて、その雰囲気からも人柄の素晴らしさが滲み出ていました。やっぱり、一流の方は違うなぁって。

小宮山さんは、NHK-BS1スペシャ『もうひとつのショパンコンクール(トップ調律師にスポットを当てたドキュメンタリー番組)で、KAWAIの代表として特集されています。
権利の関係もあるので、YouTubeにアップされているかどうかは分かりませんが… ご興味のある人は、ググッてみてくださいね!

 

番外編・YAMAHAの功罪

YAMAHAを弾く人からみれば、KAWAIの音は大人しくて、弾いていて物足りなさを感じるのかもしれません。それは分からなくはないです。
ただ、それが単にブリリアントさに欠けるだの、音量(音圧)不足だの、そういった低次元な問題にすり替えられると『ちょい待ち! それ論点が音の本質から外れてる。』となります。

以前も書いたように、日本のピアノは高品質でポテンシャルがすこぶる高いのですが、反面、技術者のメンテナンスに対する意識レベルの低さと力量不足で、街にはとてもひどい状態のピアノが溢れ返っています。
そして、その大半が世界シェア断トツ第一位のYAMAHAのピアノが占めているのです。

これは大いに問題にすべきです。

十分にメンテナンスされていないYAMAHAピアノで小さいころからレッスンを積み重ね、その音が当たり前(デフォルト)の音だと脳に刷り込まれ続け大人になっていく…残念ながらそういった人がとても多いのです。

サラリーマン調律師にテキトーに調整されたキンキン・ガンガンとした音に慣れた人(あえて犠牲者と言わせて頂きます。)が、KAWAIの音に地味さや物足りなさを感じるのは至極当然な話ですよね。(-_-;; いい加減にしろし。

これはあくまで一般論です。
優秀な調律師に丁寧にメンテナンスされたYAMAHAのピアノは、それはそれは素晴らしい極上の音色を奏でるのですよ。

ボクのYAMAHA愛はかなり強いです。

ですから、KAWAIの記事にも拘わらず、あえてこの点について強く主張させて頂きました。

 

さていかがでしたでしょうか?
こんど機会があれば、YAMAHAとKAWAI以外のピアノメーカーについても書かせて頂きますね。
それではまた!(^-^)/~~~