クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

マウリツィオ・ポリーニ:Mr.パーフェクト

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

ちょっとこの場を借りて、嬉しいご報告をさせて頂きます。
前回エントリーさせて頂いた『幻想即興曲ショパン 不本意な名曲!??』の記事が、なんとSmart Newsスマホのニュース系アプリ)のはてなカテゴリーに掲載されました!←パチパチ☆彡(ノ゚▽゚)ノ

 

 

なぜこれに気付いたかというと、仕事の合間に何気なくGoogleアナリティクスを開いたところ、異様にアクセス数が伸びていたからです。
目測で通常の4倍ほど棒グラフが高かったので「なんだこれ?」と思って、普段はそこまで気にしていないのですが、アクセス元を調べたというワケです。

まぁ、これはSmart Newsに載っている間だけなので、一喜一憂したところで何てことはないのですが、たくさんの方に読んでいただければ素直に嬉しいものです。(o^▽^o)
それと、まだ継続期間は短いけれど、このブログも少しずつ育ってきてるのかなぁ? といった感慨深いものもあります♪

どういう基準で掲載されるのかよく分かりませんが、これからも良記事を積み重ねることを最優先してブログを続けていこうと改めて思いました。

さて、そんなワケで、今回も張り切っていってみましょ~う!

 

孤高の天才ピアニスト ポリーニ

1960年、第6回ショパン国際ピアノコンクール
最年少18才で、満場一致での完全優勝

この偉業は、彼のキャリアを語る上において絶対に外すことはでません。
その実力たるや、審査委員長を務めたポーランド出身の伝説的な名ピアニスト、アルトゥール・ルービンシュタイン
「彼は我々審査員の誰よりも上手い。」
と言わしめたほどで、後にも先にもここまで最大級の賛辞を受けたのはポリーニだけかも知れません。

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もちろん、ボクが生まれるずいぶん前の話なので、その当時の状況を直接見たわけでも、演奏を聴いたわけでもありませんが、後に彼が世に出したショパン:練習曲集≫に初めて針を落としたときの衝撃はかなりのものでした。

ショパン:12の練習曲 作品10/作品25

ショパン:12の練習曲 作品10/作品25

 

ショパンエチュードを語るたびに毎回紹介させて頂きます。それくらいの名盤なのです。

そのときの日本盤の帯に書いてあったキャッチコピーは…
『これ以上、何をお望みですか?』吉田秀和氏)
ヤ、ヤバイ…これかっこいい!o(≧∇≦o)

揺るぎない確立された演奏技術、ソリッドで鋼のような精神性、硬質ながら鮮やかに彩られた音楽性。
そのすべてが、磨きに磨き抜かれた純度の高いダイヤモンドのような印象でした。
この紛れもない誉れ高き名盤は、クラシック音楽界の頂に君臨する金字塔だと言えるでしょう。

ところで、意外に思われるかもしれませんが、ポリーニはショパコンで優勝した後、すぐにプロのピアニストとして活動を開始したわけではありません。
優勝後は数少ないリサイタルは行ったものの、ほぼ10年間もの間、さらなる勉強・研鑽を積み重ねて音楽への理解を深めていったのです。

この点についてですが、現代におけるコンクールの入賞者(若手ピアニスト)たちのその後は、ポリーニと大きく状況が異なります。
よくあるのが、副賞となる『今後○年間 世界○○カ国ツアーを保証する』といった類のものです。
コンクールで上位入賞は果たしたものの、まだ自分の音楽というものを確立できていない、これから数年間は大いに勉強が必要な若いピアニストたち。
なのに、その大事な数年間、副賞のコンサートの多忙さに追われて満足に勉強できず、心労にも苛まれて羽ばたいて行けない…なんてこともあるようなのです。
ボクの記憶が確かなら、故・中村紘子さんも言及されてましたが、コンクールが将来有望な演奏家を潰しているなんて、なんだかやるせない話ですね。

話が少し逸れましたので、ポリーニに戻しましょう。(^^;;
かくして、ショパコン優勝後の約10年間で、入念な準備を整えたポリーニは、満を持して活動を開始。完全鉄壁なるピアニストとして世界中にその名を轟かせました。

 

名演揃いのグラモフォン時代

1971年に名門ドイツ・グラモフォンレーベルと契約し、軒並み世界的大ヒットを記録していきます。
当時のピアノ界の若手大スターといえば、マウリツィオ・ポリーニと、マルタ・アルゲリッチ
イタリアの天才ピアニスト、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリは、この2人の師匠ですが「彼らに教えることは何もない。」というようなことを言ってたらしいです。
果たして、それで師弟関係になるのかは疑問ですけど…(笑)

ポリーニの演奏は機械的で冷たい」と評されることが多く、人間的な温かみがないような言われ方もされますが、確かに言い得て妙ではあります。
ちょっと見出しと矛盾しますが、考えてみるとボクが彼のピアノですごいと感じたのは、ショパンでは前述の練習曲集、前奏曲集、ソナタ集、ポロネーズ集くらいです。

ショパン:24の前奏曲

ショパン:24の前奏曲

 
ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番&第3番、舟歌

ショパン:ピアノ・ソナタ 第2番&第3番、舟歌

 
ショパン:ポロネーズ集

ショパン:ポロネーズ集

 


その後のノクターン集、バラード集、スケルツォ集は、本当に…残念としか言えません。(T▽T;)
また、ベートーベンに至っては、淡々とした深みの感じられない演奏で、ボクは最後までまともに聴いてられないくらい疲れてしまいました。

しかしある意味、計算され尽くした精巧なゴシック建築や、緻密に再現された彫刻のように、芸術品として一切の曇りのない完全なる美ともいえるかもしれません。
その証拠に、現代曲に関しては、ポリーニの本領が十二分に発揮されています。

なので、ここのところの解釈は、聴き手がどう判断するかによりますので、これ以上の言及は避けておきますね。(*^-^)

 

そして、彼は晩年スターではいられなくなった

非常に残念なことですが、Mr.パーフェクトと言われ続けたポリーニにも、恐れていた老いが訪れてしまったのです。(御年75歳)
当然、彼のあの完璧で硬質でブリリアントな演奏は、もう生では聴けなくなってしまいました。
全盛期の鮮烈な演奏は、完全無欠のテクニックに支えられていたからこそ、冷たくも機械的な演奏が美しく響いてたのですからね。
それにしても、ここ20年くらいの間にあの完璧な技巧が見る影もなく突然崩壊したのですから、なにか彼に身体的な問題があったのかもしれません。←あくまでも憶測です。

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2009年の来日時、サントリーホールポリーニのピアノを聴きに行ったのですが、もう…恐らく彼はコンサートピアニストとして終わったなと正直思いました。
ボクの大好きなショパンのプログラムに狂喜したのですが、それも束の間。
その高額なチケット代にまるで見合わない演奏の酷さたるや「あのポリーニを生で聴けた喜びと、今後の自慢代として納得するしかないな…」と一人苦笑いしたくらいです。

これから先、ポリーニのあの完璧な技術が戻ることは、まずあり得ないでしょう。
そして、ボクはもう二度と行きませんが、日本で演奏する機会も今後は限られてくると思います。
しかし、あのイタリア工芸品のような煌めく演奏を音源として残してくれたことは、クラシックピアノ界の歴史に刻まれた大きな財産です。

マウリツィオ・ポリーニ氏に、心から感謝の意を表したいと思います。
ありがとう、ポリーニ

あっ、最期に記しておきますが、氏はまだまだご存命ですからね!
それではまた!(^-^)/~~~