クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ヴァレンティーナ・リシッツァ:YouTubeの魔女

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

2006年にGoogleに買収され、動画共有サービスのトップの座に堂々と君臨し続けるYouTube
この便利すぎる無料コンテンツを、あなたはどんな風に活用していますか?

好きな音楽や映画を検索したり、興味のあるチャンネルを登録して新着動画をチェックしたり、自分で撮った動画をアップして同じ趣味を持つ仲間や友人らとのコミュニケーションを図ったり…おそらくそんな感じではないでしょうか?
これは、あくまでも個人的趣味の範疇で利用している感じですよね。まぁ、ボクもそうですが、至って普通の楽しみ方です。

逆に「このサービスを使って不特定多数のユーザーに何かを仕掛けたい!」なんて気持ち、よっぽどズバ抜けた才能や特技がない限りそうそう沸くものではありませんしね。
しかし、まさにこれを実践して大成功を収めた人も少なからずいるのですよね。

そこで今回は、このYouTubeでピアノの動画を世界中へ発信し続け、唯一無二の存在となった女流ピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァを紹介したいと思います。

そのセルフプロデュース能力とブランディング戦略は見事なもので、もともと自分の才能を確信していた彼女にしてみれば「してやったり!」といったところでしょうね。

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特別美人さんではないものの、なんとなく魔女っぽいルックスが魅力的な女性です。

 

忘れられないリシッツァのファーストインパクト 

ボクが彼女の存在に気付いたのは比較的最近(2014年くらい?)で、すでに名門DECCAレーベルから何枚ものCDがリリースされていました。

全然聞いたこともない名前だったので「ん…誰だこれ?」くらいに思って特に気にも留めていなかったのですが、ある日ショパンエチュードの動画をYouTubeで検索してたところ、24曲全てをまとめてアップしているピアニストがいたので何気なく再生してみたのですが、そのピアニストこそがヴァレンティーナ・リシッツァだったのです。

動画をみた瞬間、そりゃもう…ブッたまげました!ヽ(; ゚д゚)ノ

初っ端のop.10-1から「これくらい何てことないわ♪」みたいな涼しい笑顔で、そりゃもう見事に弾きこなすのですから、時を忘れて24曲一気に鑑賞してしまいましたよ。

そして、まぁその指が実によく回ること回ること! (゜∀゜)こりゃたまらんな~…
ここまで軽やかに確実に力強く優雅に自由に…もうすべての形容詞を使いたいくらいの演奏をされたら、もう無視してられませんよ~!

その後、彼女の経歴やどんなレパートリーを持っているのか、日本でツアーの予定はないのか、とにかくいろいろ調べまくりました。
それまでボクの中では、世界中にゴロゴロ存在する無名なピアニストの一人だったものですから、WEB上で彼女の記事がたくさん落ちている事実にビックリしましたよ。
但し、批判的なものもたくさんありましたけど、まぁ人気者には賛否両論が付きものですからね。


Chopin Etude Op10 No.1 Valentina Lisitsa

とりあえず何も考えず、こちらをご覧ください。きっと興奮して鼻息が荒くなります。(笑)

 

一気にスターダムへとのし上がったリシッツァ

キエフ出身のリシッツァは、地元ではそこそこ平均的なキャリアを積んできたピアニストです。
しかし、コンクール等で特に目立った受賞歴もなければ、世界が注目するような活動も皆無でした。

結婚を期にアメリカへ渡った後は、世界的なホール(カーネギーホールやウィーン楽友協会)でリサイタルも開いているのですが、これが世に出る決定打に至ってないというのは、単に巡りあわせの問題か運が悪かっただけなのかも知れません。

彼女のキャリアに転機が訪れたのは、YouTubeにピアノの演奏動画を投稿するようになってから。
YouTube内の彼女のチャンネルで古い順に動画を並べ替えてみると、10年前(2007年)のショパン エチュード Op.10-4が最初の投稿みたいですから、ちょうどボクが最初に観て度胆を抜かれた動画リストに含まれてますね!

そんな彼女のYouTubeチャンネルは、動画再生数も登録数も半端ないです。
当然、その演奏能力があっての数字ですが、その上で何年もの間積み重ねてきた地道な努力が、今の彼女のピアニストとしての地位に結び付いたのでしょう。

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その後のDECCAとの契約や世界ツアー等にこぎつけるまで、当然苦労したこともたくさんあるかとは思いますが、YouTubeでここまで成功できること自体ほとんど奇跡だと思います。
プロアマ問わず、ショパンやバッハやベートーベン等の曲をYouTubeで公開している人が世界中にどれくらいいるのでしょうか?(^^;;
それこそ、自宅での演奏風景から、発表会、コンクールやコンサート映像の無断掲載(爆)まで。
ここからピックアップされるのは、砂漠の一角に紛れたたった一粒の宝石を拾うようなものです。

とにもかくにも、ヴァレンティーナ・リシッツァは、今後も注目に値するピアニストであることに間違いはありません♪

 

素晴らしきヴィルトゥオーゾ! そのダイナミズム!

リシッツァのレパートリーはショパンだけにとどまりません。
ベートーベンリストラフマニノフモーツァルトバッハシューベルトチャイコフスキースクリャービンショスタコービッチグリーグ(順不同)…その他もう何でもござれです。(゚Д゚≡゚Д゚)

そして、その演奏スタイルは、誰も真似ることができないであろう完全なるリシッツァ流。
一切媚びることのない彼女の演奏は、確かな演奏技術に支えられ、どこまでも自由で奔放で煌びやかで…聴き手に微塵もストレスを感じさせません。


Beethoven Rocks! on Paris Streets: Appassionata on upright:) Lisitsa

ベートーベンも彼女にかかればこの通り。
伝統的な解釈をもっての模範演奏も素晴らしいですが、ここまで演れるリシッツァもまた素晴らしい。
正統派のドイツ人大先生なら、顔を真っ赤にして怒り出しそうですけどね。(笑)

興味が湧いたら、あなたもYouTube≪ValentinaLisitsa≫と検索していろいろな動画を観てみましょう。
とても短時間で見終わるような動画数ではありませんので、チャンネル登録も忘れずに!(≧∇≦)b

それではまた!(^-^)/~~~