幻想即興曲:ショパン 不本意な名曲 !??
こんばんは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
全国的に茹だるようなこの暑さ…みなさんお元気でしょうか?
そしてこの数日の間、ボクの故郷である福岡や大分・熊本では、豪雨による土砂災害に遭われた方々が大勢いらっしゃることに心が痛むばかりです。
この場をお借りして、不幸に見舞われた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
幸いにもボクの親戚や友人たちが住む地域は大きな被害もなく、みんな無事で元気でした。
そして最近、まったくブログ更新できずにいた言い訳をさせてください…(ToT)
7月に入ってWEB案件が同時に複数舞い込んできて、プロトタイプ(フレームワーク)制作に追われ、ブログネタをリストアップする時間すらありませんでした。←これまでどんだけ暇だったんだ…(--;;
効率性を考えて、そろそろUXデザインツール、Adobe XDを導入しないとなぁ…と考えています。
そのためにはOS環境を変えないといけないので不安ですが、いつかはアップグレードしていかないといけないのだから、それは自分的には今なのかなぁ…と。
さらに、まだまだ新案件の話がいくつか浮上してますが、仕事の谷間に更新頑張っていきますので、これからも引き続きよろしくお願いします!
ショパンの即興曲について
≪幻想即興曲≫
さて、あなたはこの曲名だけでピンときますか?
これは、クラシックやピアノに全く興味のないあなたでも『絶対この曲は知っている!』といえるほど有名なショパンのピアノの名曲です。
流行歌に置き換えるとしたら、あなただけではなく家族や親族までもが(しかも何代にも渡って)一生遊んで暮しても遣いきれないほどの印税が振り込まれ続けるレベルでしょう。(笑)
Yundi Li - Chopin "Fantasie" Impromptu, Op. 66
▲まずはこれをお聴き下さい。なんて優雅でカッコイイ曲なのでしょう♪
途中の演出がクサすぎてたまりませんが、ユンディ・リというピアニストのPVなので、そこは我慢してください。(笑)
この曲は、ショパンの4曲からなる即興曲の第4番目にあたり、例にもれず≪幻想即興曲≫というのはショパン自身ではなく、友人のユリアン・フォンタナが名付けたものです。
そのフォンタナが、ショパンの類まれなる即興演奏能力について言及しているように、かなりの即興演奏の名手だったショパン。
即興曲とは、その名の通りその場でインプロヴァイズして演奏することですから、その時に弾いたまま譜に書き起こしているわけではありません。
ですから、後に曲想を深く考察しながら長期にわたって記譜することになるワケで、実際ショパンもこの作曲の工程にかなりの労力を要したようです。
この4曲に関しても、出版された時期は様々ですが、ショパンがどこかサロンやリサイタルで即興演奏を楽しんだ後にそうしたプロセスを経て作曲され、200年近くもの間弾き継がれてきたのです。
そう考えると、何故こんなにも即興曲として残っている曲数が少ないのか? という疑問も解消できます。
幻想即興曲はまさに幻の曲
作曲されたのは1834年ですから、ショパンが24才の頃。
しかしながら、この曲は彼の死後に遺作として出版されました。なぜだと思います?
実はショパンは、この曲に関してはあまり重視していなかったという逸話があるのです。
『納得できる曲じゃないから、私の死後に捨ててくれ!』
と、概ねフォンタナに対してそんなニュアンスで伝えたようです。
こんなにも美しく素敵な曲なのに、なんで!? と思うのはボクだけではありませんよね。その証拠に、ショパンの代表曲の中でも1、2位を争うくらい人気があり、世界中で愛されて続けているのですから。
その理由には諸説ありますが、有名な2説を挙げてみましょう。
イグナーツ・モシェレスは1794年チェコ出身のピアニスト。
生存時期はショパンとダダかぶりしており、ショパンは弟子たちに好んで彼の曲を弾かせたくらいなので、相当な影響を受けているはずです。
そのモシェレスの≪即興曲 変ホ長調 作品89≫の導入部にソックリだという説です。
▼ベートーベン月光ソナタ第三楽章に酷似している説
最後の最後ですが、終結部手前に挿入された下降型のアインガングは、調も同じであるということもあり、相当酷似していることは否めません。
また、上の説の増長になるかも知れませんが、モシェレスはベートーベンに生涯傾倒し、ピアノソナタから多大なる影響を受けてますので、いずれにしてもショパンが何らかの形でインスパイアされたのは間違いないでしょう。
その≪幻想即興曲≫の解説と、上記2つの諸説を解説している映像がYouTubeにアップされていたのでご紹介します!
これを見れば、あなたも「なるほど!」と納得できると思います。
気の短い方は、ピンポイントで『2:07 - 3:15』あたりをご覧ください。(笑)
Chopin 'Fantasie-Impromptu' - History & Tutorial - Paul Barton, piano
▲ポール・バートンさんによる幻想即興曲の解説です。モシェレスの即興曲との比較演奏も聴けますよ。
フォンタナの功罪
前述の通り、≪幻想即興曲≫という名前は、ショパンの友人であるユリアン・フォンタナが名付け、ショパンの遺言を無視してこの世に遺作として出版しました。
本来であれば永久に闇に葬り去られたであろう曲だったものを救出し、不朽の名作として後世に残したのですから、それは歴史的な功績といって良いでしょう。
しかし、困ったことに…フォンタナは…
ショパンの譜に手を加えて出版したのです!ヾ(~O~;) オイコラ!(笑)
これが俗にいうフォンタナ版といわれるもので、広く長きに渡って歴史的な名ピアニストたちに弾かれてきました。
しかし、1964年にこの曲のより新しい自筆の譜が発見されたのです。
出所は、ショパンの弟子であったデステ夫人に送られたもので、発見者はボクの尊敬してやまないピアニスト≪アルトゥール・ルービンシュタイン≫です。
これがショパンによる最終稿なのかは分かりませんが、ショパンは納得できないと出版しなかったというのですから、この曲自体をこれ以上推敲して完全に仕上げようという意思はなかったのかもしれません。
ですから幻想即興曲は、大まかにフォンタナ版とルービンシュタイン版に分類されますが、現在はその後の研究と校訂により多くの版が存在しますので、どの版で弾くかはピアニストの意向によります。
しかし今となっては、業界的にフォンタナ版はあまり評価はよろしくないようですね。
▲横山幸雄さんはフォンタナ版+ルービンシュタイン版というハイブリッドな演奏です。
▲過去記事にてショパンの楽譜のエディションについて書いていますので、併せてどうぞ!
いずれにしても、いろんな運命のイタズラによってボクたちに届けられた貴重な歴史的遺産なのですから、この名曲を聴ける(弾ける)歓びをもっと感じて、後世に伝えていきたいですね♪
それではまた!(^-^)/~~~