フォルテピアノの魅力 PART2
おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
前回のPART1では、鍵盤楽器の誕生~現代のピアノの基礎となる構造を持つ≪フォルテピアノ≫に進化るすまでの過程を解説しました。
今回のPART2はその続きとなりますが、≪フォルテピアノ≫の時代で進化を止めて、その魅力を語っていきたいと思います。
▲浜松市楽器博物館所蔵の、1830年製 PLAYEL PIANO。
これは、まさにショパンが生きていた時代に製造されたフォルテピアノです!
普段は展示されているみたいですが、レコーディングやリサイタルで実際に弾かれている今もなお現役バリバリのピアノです。(^-^)
ショパンが愛したPLEYEL(プレイエル)
PLEYEL社は、ハイドンにも師事したことがある、音楽家であり実業家でもあるイニャース・ジョセフ・プレイエルが1807年に設立したピアノ製作会社です。
そして、彼の長男であるカミーユ・プレイエルもまた優れたピアニストで、ポーランドからオーストリアを経てフランス・パリへと移ってきたショパンと非常に親交が深かったと言われています。
その後、ショパンはサル・プレイエルというPLAYEL社所有のホールにてパリデビューすることになるのですが、これがショパンとプレイエルピアノとの運命的な出逢いです。(今もこのホールはパリ8区にあり、様々なイベントが催されています。)
当時はすでに、リストが使用していたエラールという非常に優れたダブル・エスケープメントという機構を持つフォルテピアノがあったのですが、ショパンはあくまでもシングル・エスケープメントに拘りがあったようです。
また、ショパンはエラールの持つ音の派手さがあまり好きではなかったようで、それを示すような以下のような言葉を残しています。
「プレイエルは完全無欠だ。」
くぅ~~っ、かっこいい~~~!v(≧∇≦)v
ん? 待てよ…ってことは、現代のピアノがこの時代から大きく進化したのは、リストとエラール社の貢献が大きかったわけですから、もしショパンが今の時代に蘇って最先端のピアノを弾いてもお気に召さない可能性が高いってことですよね? てか、100%気に入らないでしょうね。(笑)
自身の作品には繊細なタッチを要求するショパンですから、こんな馬鹿でかい音がするピアノなんか弾けるもんか!って感じでしょうか。(^^;;
事実、ショパンは生前はもっぱらサロンでのコンサートばかりで、現代のようなオーケストラを従えて大ホールで演奏したことなどありませんでした。
自身のピアノ協奏曲にしても、ソロまたはオケパートをピアノで演奏することの方が多かったくらいなのです。
さてさて、今回も豆知識のお時間です。(笑)
このサル・プレイエルでのコンサートのお膳立てをしたのは、カミーユ・プレイエルの他に、高名なピアニスト兼指導者であったカルク・ブレンナーが挙げられます。
ショパンがポーランドにいた時代から師事していたエルスナーはカルク・ブレンナーに批判的だったのですが、当のショパン本人は、こうやって何かとサポートしてくれるカルク・ブレンナーは信頼に値する人物だったようです。
そして聴衆の中には、リストやメンデルスゾーンといった超ビッグネームが顔を揃えてました。
彼らは、ショパンのこの華々しいパリ・デビューコンサートに立ち会っていたのです。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いでパリのサロン界を席巻していた青年音楽家たちが、その後同志として意気投合したのはお分かりでしょう。
なんか、もう想像しただけで背筋がゾクゾクしてきますよね!v(≧∇≦)v
ショパン+PLEYELの音色を同時に感じられるDVD
とにもかくにも、ショパンの曲はすべてが繊細で鍵盤に触れるようなタッチが要求される曲ばかりで、例えフォルテシモの指示があったとしても、リストの曲のようにガンガン弾くのは好ましくありません。
ショパン特有の美しい旋律は、時に4、5指でグリッサンドするような指遣いでレガートに囁くように弾かなければならず、そこがプレイエルのフォルテピアノと相性が良かったのでしょう。
現代のフォルテピアノ奏者として数々のピアノコンクールで優勝の経験がある小倉貴久子さんは、ショパンの曲を在りし日のまま再現してくれる希少なピアニストです。
下のDVDには、彼女の素晴らしい演奏が収録されています。
楽器の世界コレクション2 PLEYEL PIANO_プレイエルのピアノ_室内楽で聴くショパンが愛した音の世界 浜松市楽器博物館所蔵楽器“プレイエル”による[DVD]
- 出版社/メーカー: デジタルセンセーション株式会社
- 発売日: 2010/03/29
- メディア: DVD
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▲PLEYELのフォルテピアノは、現代のピアノのように大ホールでフルオーケストラと共演できる迫力のある音量は出せませんが、このDVDに収められたショパン+PLAYELは、実に甘く切なく味わい深い音色を奏で、音楽の本来の愉しみ方を教えてくれているように感じます。
収録内容の目玉は、なんといっても
≪ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 op.11≫
なのですが、これに収められているのは珍しい室内楽版!
フォルテピアノ、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスという非常にシンプルな構成です。
フルオーケストラ+フルコンサートグランドでの演奏は壮大で勿論素晴らしいのですが、室内楽版も、素朴なショパン青年の甘く切ない恋を等身大で物語っているようで、また違った味わいがあります。
なにより、当時のフォルテピアノでの演奏ですので、飾らない素顔のショパンが感じられる気がするんです。
ちなみに、このDVDに出演されている演奏家は全員が『東京藝術大学』出身です。
もう、天才で、カオスで、超絶ド変態な皆様です!(笑)
※その件については、以下の記事をご参照ください。
cosmic-classics.hatenablog.com
ショパンが生きた時代に製作され、ショパンが一生涯弾き続けたPLAYELのフォルテピアノ。
是非、あなたにもこの音色を楽しんでもらい、ショパンを聴く幸せを共有できたら嬉しく思います。
それではまた!(^-^)/~~~