クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ノクターンの生みの親はショパンではない。

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

この2日間、息子のお宮参りと来客が続いたため久しぶりにブログをお休みしました。
空いた時間に少しづつ進めて、ひとつくらい記事をアップできるかな? とも思いましたが、ボクの場合はクラシック音楽という特定した分野について自分の言葉で伝えるブログにしていますので、まとまった時間で集中して書いていかないと逆に効率が悪いのです。
たかがブログとはいえ、内容を薄くしたりいい加減なことを書き綴ることは絶対にしたくないので、いつも結構な時間をかけて記事を練って公開しています。

具体的には…
調べもの下書き推敲加筆公開
という5ステップでエントリーし、その後読み返すたびに随時修正を行ってます。

最初の『調べもの』は自分の知識や記憶に間違いがないか、Wikipediaなどのサイトで引用できる文章はないかの確認時間で、まずはこれに1時間程度かけてますので、公開まで平均3~4時間くらいの時間が必要ですね。(^^;;

それだけ時間をかけて書いても、クラシックにある程度詳しい人なら問題なく読める内容が、疎い人だと「この部分、きっとわからないだろうなぁ…」といった箇所もたくさんあると思うのです。
でも、そこをもっと掘り下げていくと回り道が多くなって文章にリズムも出ないし、文字数がイタズラに増えてなかなか着地できなくなります。
今のボクの文章力では限界がありますので、そこがジレンマですねぇ…

なんとかもう少し、上手に伝えるテクニックを磨いていきたいと思いますので、それまでなんとかお付き合いいただけたら…と思います。m(._.)m

というわけで、早速本題にいってみましょ~う!(^-^)/

現代となってはショパンの代名詞でもあるノクターン夜想曲)≫ですが、あなたはこのノクターンという形式をショパンより先に、しかもショパンとほぼ同等数(20曲)の曲集を遺した作曲家がいたことをご存じですか?

今回は、そのノクターンという形式の創始者であるジョン・フィールド(1782-1837)についてお話しようと思います。

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ジョン・フィールドの生涯について

ジョン・フィールドは1782年アイルランドの首都ダブリンに生を受けたクラシック作曲家です。
幼い頃から音楽一家に育ったフィールドは、すぐにその頭角を現し、10才を前にしてピアニストデビューしました。

11才の時に、当時ロンドンで大いに名を馳せていたムツィオ・クレメンティに弟子入りし、ヨーロッパの演奏旅行に同行したのですが、途中でクレメンティは自分の名と自社のピアノ(作曲家であると同時に、商売人としても成功していた。)を売りたいがために、この有能な弟子(広告塔)をロシアのサンクト=ペテルブルクのパトロンの屋敷に置いていくことにしました。
程なくしてクレメンティの思惑通り、フィールドは瞬く間にサンクト=ペテルブルクにその名を轟かせたということです。

なんだか、クレメンティがフィールドの才能を利用した悪者のような感じの文章になってしまいましたが(笑)そうではなく、きちんと指導は怠ることなく音楽家として立派に大成させたうえでのお話ですので、単なるクレメンティの私利私欲のみでの行動ではなさそうです。

その後間もなく移り住んだモスクワでも、サンクト=ペテルブルク時代に負けず劣らずの絶大な人気者となり、その音楽家としての名声を確実なものとしました。

「フィールドを知らないことは、罪悪である」

とまで言わしめた人気ぶりです。

また、指導者としても沢山の弟子を育て、その中にはあのセルゲイ・ラフマニノフの祖父もいたというのですから、フィールドのロシア音楽への貢献度は甚大ですね。
ラフマニノフの名前がロシア音楽の歴史に刻まれてなかったら…と思うと本当にゾッとします。
※ちなみにフィールドは晩年『ウォッカ』大量摂取にによる体調不良(アル中?)で、レッスン中はかなり朦朧としてたようです。さすがロシア…(^^;;

1832年にフランス・パリにてコンサートを開き、自身のピアノ協奏曲を演奏しますが、そこに居合わせた、ショパンリストシューマン等の大物作曲家たちにそのピアニズムを大絶賛されました。
この頃のショパンは22才で、もうすでにフィールドの存在も知っていたし、彼のノクターンに影響を受けて自分でもノクターンを作曲しているのですから、なんだか感慨深いエピソードですね。

そして、1837年(満54才)、長年患った直腸癌によりロシアの地でその短い生涯を閉じました。

 

ジョン・フィールドノクターン

最初に言ってしまえば、フィールドのノクターンは抒情的ではあるけれど、ショパンノクターンほど熟慮された構成でもなければ完成度も高くないです。
食べ物に例えるとすれば…

ショパン『具だくさんおにぎり』『豪華クラブハウスサンド
フィールド:カリカリ梅干しおにぎり』『マーガリン食パン』



残酷な話ですが、後世に広く親しまれているノクターンショパンのそれであり、ノクターンといえばみなさん口をそろえてショパンというでしょう。
しかし、ノクターン創始者は紛れもなくジョン・フィールドなのですから、それをここでとやかく論じるのは愚の骨頂ですよね…

それにしても、なぜこれほどまでに近年のピアニストたちは音源を残してこなかったのでしょう?
ショパンに多大なる影響を与えた音楽家なのに、その曲集が現世で知れ渡っていないのは、後発であるショパンがあまりにも偉大すぎたから?
当時のロシアでは絶大な人気を誇り、人生の大半をロシアで過ごしたフィールドですが、現在のロシアではショパンノクターンの方が持てはやされているというのはちょっと皮肉な話ではありますね。

フィールド:ノクターン全集

フィールド:ノクターン全集

  • アーティスト: ロウ(エリザベス・ジョイ),フィールド
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/05/18
  • メディア: CD
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何かに集中したいときのBGMとしては非常に優秀です。ゆったりとした気持ちで読書するときもOK。
ちなみに、ショパンノクターン第2番の左手のパターンは、このフィールドのノクターン第6番に酷似していますが…これをとってもフィールドからの影響が伺い知れます。

ショパンノクターンについては過去記事にもエントリーしていますので、興味のある人は以下リンクよりご覧ください♪

 

cosmic-classics.hatenablog.com
今となっては逸話だけが独り歩きしていますが、ショパンノクターンがボクたちに遺されているのは、ジョン・フィールドという才能ある作曲家がこの世に存在したからです。
その先駆者には大いなる敬意を表したいですね!

それではまた!(^-^)/~~~