クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ショパン映画に一番ゆかりのあるピアニスト

こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

あなたはクラシック音楽を題材にした映画を観たことはありますか?
※のだめを除く(爆)
ふと思ったのですが、ボクは意外と観ていないんですよ。これまでに観たその作品数は僅かに6つ…(^^;;

別れの曲(Abschiedswalzer/1934年・ドイツ)
アマデウス(AMADEUS/1984年・アメリカ)
戦場のピアニスト(THE PIANIST/2002年・仏独波英)
ショパン 愛と哀しみの旋律(Chopin: Desire for Love/2002年・ポーランド
敬愛なるベートーヴェン(Copying Beethoven/2006年・イギリス)
オーケストラ!(LE CONCERT/2009年・フランス)


しかも、ほとんどがここ10~20年に制作された映画ですね。
みなさん、なにかクラシック映画でオススメがあったら、是非是非教えてくださいませ!!←新しい刺激に常に飢えておりますゆえ…(笑)

さて、最初に挙げた≪別れの曲≫が唯一のモノクロ映画ですが、これがボクにとって今のところ一番心を打つクラシック映画です。
時代が時代ですから、エフェクト技術など手の込んだ演出は一切ありません。
それでも、作り手の気持ちがヒシヒシと伝わってきますし、特に劇中のショパンとリストの俳優さんが、自分の考えるイメージとぴったりシンクロしていたのが大きかったです。

そして何よりショパンとリストの最初の出逢いのシーンがとても素晴らしいのです。
ショパンの力作英雄ポロネーズをお互い片手パートを演奏しながら握手を交わすという、洒落た演出に思わずニヤリとしてしまいます。
その光景を離れた位置で幸せそうな表情で見守る、エルスナー先生のチャーミングな姿。(笑)
ただ、残念な点としては、ジョルジュ・サンドがちょっと(かなり)美しすぎたかなぁ?
あと、演出上カルク・ブレンナーが嫌な役回りにされていますが、これは史実と違います。実際の彼は、ショパンのパリデビューに尽力した一人ですから。

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ヤヌシュ・オレイニチャク:ポーランドの大御所

さて…話は変わりますが、このピアニストの名前、ご存知の方いらっしゃいますか?
彼は、第8回 ショパン国際ピアノコンクール第6位入賞者として地元ポーランドを沸せたピアニスト
ちょうど、≪世界のUCHIDA≫こと内田光子さんが第2位入賞を果たした回ですね。←ちなみにこれは日本人としては現在最高位です。

そしてこの他、彼が名を上げた大きな理由は、アカデミー賞を受賞した作品、あの戦場のピアニスト≫において、すべてのピアノ演奏の吹き替えを行ったことです。

主人公であるシュピルマンが、ポーランドの敵となるドイツ軍の将校であるヴィルム・ホーゼンフェルトの目の前で弾いた、ショパンバラード第1番≫は実に見事なもので、情景描写の演出も相まって観衆の心に一番焼き付いたシーンだと思います。
ちなみに、これに水を差すようですが、実際にシュピルマンが弾いた曲は、ノクターン第20番(遺作)嬰ハ短調だという話です。
※この映画は、脚色しているとはいえ、ノンフィクションでありシュピルマンの体験記です。

それにしても、シュピルマン役を演じたエイドリアン・ブロディの演奏シーンの演技は、とても素晴らしかったですね!
ピアノを弾いている指のアップは、もちろんオレイニチャクによるものですが、冒頭の部分はちゃんと練習をしたそうですよ。
全くもってエイドリアンの演奏に見えるのですから不思議なものです。

ボクはその昔、NHKで放送されたあるショパンの特番を録画して(当時はもちろんVHSテープです。)オレイニチャクの弾くショパンを聴いていたのですが、なんだかアクの強い演奏であまり好きにはなれませんでしたが、まだ若くてよく理解できてなかっただけなのかもしれません。

また、彼は当時から地元ポーランドでは結構なピアニストとして活動してたみたいですが、日本では全く有名ではなかったし、恐らくレコードやCDも売られてなかった(?)ので、その後この映画で再び耳にするまではその名前を忘れてたくらいです。(^^;;

オレイニチャクの映画での演奏吹き替えは他にもあり、偶然ボクが観たショパン 愛と哀しみの旋律でも彼の演奏が聴けます。
内容的には、ショパンジョルジュ・サンド一家(息子のモーリス、娘のソランジュ)によるマジョルカ島への逃避行の時代にスポットを当てたもので、決して華々しいパリのサロン社会での生活を描いたものではなく、ドロドロとした人間臭ささえ漂う鬱々とした作品に仕上がってますね。

この映画には、日本が世界に誇るピアニスト横山幸雄さんも、≪革命のエチュード等の難曲の演奏吹き替えをされています。
ボク的にはオレイニチャクより、正直こちらの方が最重要事項です。(笑)

cosmic-classics.hatenablog.com

横山幸雄さんの記事も過去にエントリーしていますので、よかったらどうぞ♪

 

俳優(?)オレイニチャク

実は、これについて一番書きたかったのです。(笑)
どうやら「オレイニチャクはショパンにそっくりだ!」 という理由で、自身が演奏しているのはもちろん、ショパン役まで務めている映画が存在しているのです。
制作側としては、吹き替えがいらないし、ショパン役がそのまま演奏しているのであれば臨場感もリアリティも演出ナシでいけちゃうのですから、願ったり叶ったりなんでしょうね。

その映画は、ソフィー・マルソーという往年の美人女優さんが主演(ジョルジュ・サンドの娘のソランジュ役)の一人として制作された≪愛人日記≫(La Note bleue/1991年・フランス)という作品です。

ボクはまだこれに関しては観ていませんので、簡単な内容すらご紹介することもできませんが、いい機会なので今度DVDでも買ってみようと思います。
で、↓これがヤヌシュ・オレイニチャクの若かりし頃の写真です。

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ショパンの実際の写真は、ネット等でもよく見かける一枚しか知らないので何ともいえませんが…そのショパン似というのはどうなんでしょうね?
確かに、この若い頃のオレイニチャクは端正な顔立ちだし、ちょっと痩せて頬がこけた感じはショパンのイメージに合ってるような気はします
でも、自称なのか他人評なのか…そこは、あんまり深くツッコミ入れるのはやめておきます。(^^;;

彼はその後も、NHKポーランド国営放送局の共同制作番組でもショパン役を演じているようです。
ボクが昔見たNHKの映像では、もうちょっとクシャっとした感じのオジサマでしたので、それと同じ番組ではないとは思いますけど…

彼の実績としては、特にヒットを出したCDなどは≪戦場のピアニスト≫のサウンドトラック以外に聞いたこともありませんし、個人的に、大昔にNHKの番組で彼の名を目にしてなかったら、今でも殆ど知らないピアニストのひとりでしたね。

彼は、随分昔のショパコンの入賞者である上、優秀ではあるにせよ世界の第一線に身を置くピアニストではないことは明らかで、世界で研鑽を積み続けている同じ時代の名ピアニストたちからは、大きく水を開けられていると思うのです。
それなのに、何故オレイニチャクはショパンの映画やドキュメンタリー番組で度々キャスティングされているのでしょう?

ボクはその答えとしては、オレイニチャクのそのアクの強いポーランド節の利いた(いい意味で情熱的な)演奏は、過剰演出も通用する映画だからこそ効果を発揮できるのではないか?と推察しています。

もし、彼が来日してコンサートをやると知っても、食指が動く要素は見当たりませんので、ボクは恐らくスルーすることでしょう。

しかし、世の中には常にPRO(肯定派)とANTI(否定派)が存在しますので、ボクのこの見解は当然のことながら正解ではありません。
なので、個人的感想に関しては、サラッと聞き流してくださいませ。(-_-;)ゝ

以上、思いついたようにツラツラと書き綴ってみましたが、冒頭で紹介した≪別れの曲≫をもう一度観返して涙したいと思いますのでこれにて失礼します。(笑)

 

別れの曲 [DVD]

別れの曲 [DVD]

 

ショパンの映画としては最高傑作だと思います。歴史的作品なので全編モノクロですが、この甘く切なく激しいショパンの感情と恋を描いた物語を、若い人たちにも感じて欲しいです。

それではまた!(^-^)/~~~