クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ショパン ポロネーズ 全7曲

こんばんは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

久しぶりにショパンの楽曲に触れる記事をエントリーさせて頂きます♪
本当はもっと早いペースでこのカテゴリーについて網羅し、みなさんにショパンを知って頂くことと、少しでも多くの方にショパンの曲を聴いてもらい、好きになって頂くということが、このブログの最大の目的なんですけどね。ヾ(・ω・`;)ノ

さて、では早速そのポロネーズについて、張り切って書いていきます!
その前に予備知識としてお話をしておきたいことがあります。

 

ポーランドの民族舞踊について

以前ほんの少しだけ、ポロネーズは古くから伝わるポーランドの民族舞踊であることに触れたことがありますが、ここではその民族舞踊について少しだけ詳しく解説したいと思います。

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ショパンの生まれ故郷であるポーランドの民族舞踊には、大まかに5つほどの種類があります。

Polonezポロネーズ・3/4拍子)
Mazur(マズル・3/4、3/8拍子)
Oberek(オベレク・3/8拍子)
Kujawiak(クヤーヴィアク・3/4拍子)
Krakowiak(クラコヴィアク・2/4拍子)


なんだか、聞いたことないようなものまでありますね。(^^;;
しかし、マズルって… あれれ、マズルカではないの??

マズルカという名前は、上記のマズル、オベレク、クヤーヴィアク(その他オブラツァニ、オクロングウィ)の総称です。
地域によりリズムの違いやテンポの速さに特徴があるので、これらの複数の名前で区別し分類されているようです。

そして、最後の≪クラコヴィアク≫に関しては、ショパンの曲にそのままのタイトルで存在していました。
演奏会用大ロンド『クラコヴィアク』(Krakowiak, Grand Rondeau de concert)ヘ長調 作品14
これは、ピアノと管弦楽のための作品のようです。ピアノ独奏曲ばかり作曲しているショパンにしては、こういった室内楽ものは非常に珍しいですね。


Fryderyk Chopin - Krakowiak Op.14

こちらがその≪クラコヴアク≫です。良音を優先したので映像はないですが、一発で検索できるなんてYouTube様様ですね。

それでは、ポーランドの民族舞踊がザックリと整理できたところで、今回のテーマであるショパンポロネーズ≫全7曲について解説していきたいと思います。

 

ポロネーズ:繊細かつダイナミックなショパニズムの集大成

ショパンのピアノ作品というと、みなさんきっと一様に、夢見心地で、美しく、優雅な、パリのサロンを彷彿とさせる貴族たちのための音楽を連想するのではないでしょうか?
しかし、ショパンってそういったイメージを払拭する曲も結構残しているのです。
その例として取り上げて、一番分かりやすいのが、この≪ポロネーズ≫という曲集です。

どの曲をとっても、ショパン独特の繊細さや憂いを含む美しい旋律はもちろん、同時に品格に満ちた男性らしさ骨太さまで感じられるものばかりです。
そして、ショパンポロネーズを単なる舞曲ではなく、独自の新しい芸術作品として昇華させたのです。(これはマズルカにも言えることですね。)

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ポロネーズ 第1番 嬰ハ短調 op.26-1

断固たる威厳を持った猛々しい序奏と、美しいメロディを奏でるノスタルジックな中間部との対比が素晴らしい曲です。

個人的な意見ですが、ボクの好きな調で書かれています。(笑)
主題はその嬰ハ短調ですが、並行調のホ長調~中間部で同主調変ニ長調へ転調するところが特に好きで、彼の天才的なハーモニー(和声)の扱い方がダイレクトに感じられる部分でもあります。
最後は主題に戻りますが、なんと! 盛り上がりを見せることなく(コーダ無し)普通に終わってしまいます。ショパンにしてはちょっと珍しいですね。(^^;

 

ポロネーズ 第2番 変ホ短調 op.26-2

悲壮感漂うポロネーズとでも言いましょうか。
序盤でのリタルダンド(次第に遅く)とアッチェレランド(次第に速く)が交互に指示されているところに、その不安定な心情を綴る効果が表れています。
なにより、先のop.26-1の威風堂々とした曲調に対し、真逆に位置付けられそうな作品を同じ番号でまとめたことにショパンの意図を感じます。
そして、こちらも同じく弱音(ppp ピアニッシッシモ)で消えるように終わります。

 

ポロネーズ 第3番 イ長調 op.40-1≪軍隊≫

必要な技術以上の演奏効果がある、副題付きのポロネーズではありますが、いずれにせよ他人がつけたものですから、ショパンがそのテーマで書いたものではありません。

ショパン独特の抒情的で繊細な旋律は最後まで特に現れず、勢いだけで乗り切ったような作品です。そしてショパンにしては非常に単調で、起伏に乏しい構成だと思います。
並居る演奏家たちは、こういった作品とも真正面から向き合わないといけないのですね。本当にとても大変な職業だと思います。

 

ポロネーズ 第4番 ハ短調 op.40-2

先の軍隊ポロネーズと同じ作品番号でまとめられた曲です。
むしろこちらの方が音楽的に充実しているし、構成も非常に緻密で多彩な変化に富んでいます。
しかし、華々しい雰囲気の第1曲に対してあまりにも悲壮感溢れる曲調なので、結果注目されないという不遇な曲となっています。

→op.40-1:偉大なポーランドを讃えた曲 (´ω` )/
→op.40-2:没落したポーランドを嘆く曲 (ノ◇≦)

 

ポロネーズ 第5番 嬰ヘ短調 op.44

副題は付かなかったものの、ショパン自身がポロネーズ形式の幻想曲」と、友人であるフォンタナ宛の手紙に記しています。
また、フランツ・リストも賛辞を惜しまなかったくらい傑出した作品で、その地位は第6番≪英雄≫や、第7番≪幻想≫と肩を並べるほどだと言われています。
中間部のマズルカ形式で書かれた美しい旋律、簡潔ではありますが悲劇的なコーダ部分、この「よしキタッ♪ヾ(。>v<。)ノ゙」と思わせる立体的な構成は、やはり天才ショパンならではです。

 

ポロネーズ 第6番 変イ長調 op.53≪英雄≫

ショパンの代表的なポロネーズ全7曲の中で、最高傑作にして最高レベルの演奏テクニックを要する≪英雄ポロネーズは、ボクにとってショパン全166曲のピアノ独奏曲中、5本指に入る大好きな作品です。

これから起こる物語を予見させるような序奏と、全身に稲妻が走るような劇的なコーダは、全ポロネーズを代表するに相応しい、大規模で華やかな構成となっています。
この堂々たる風格、壮大な構想、漲る生命力と躍動感は、聴く者を奮い立たせてくれます。

 

ポロネーズ 第7番 変イ長調 op.61≪幻想≫

ショパンがその生涯の中で一番最後に書いたポロネーズが、この幻想ポロネーズで、奇しくもジョルジュ・サンドとの破局と時を同じくして世に放たれた曲です。
そしてポロネーズに限らず、それ以降のショパンはこれほど規模の大きい曲は1曲たりとも書き残していません。

第6番≪英雄≫との決定的な違いは、厳格な形式を持たない故、テクニックだけではきちんと弾きこなせないところにあります。
つまり、弾き手のクリエイティヴィティと曲の構築力が試されるというわけです。
ですから、クラシックに全く免疫のない人にいきなり聴かせても、哀しいかな『ワケのわからない曲』という一言で終わってしまうでしょう。(笑)

 

最後に…

現代において一般的に広く聴かれているショパンポロネーズは、生前にまとめられ出版された以上7曲2曲(アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、序奏と華麗なるポロネーズということになっています。
が、実は他に…

9曲ものポロネーズが存在するのです。(・ω・`)な、なんですと!?(笑)

しかし、それらは『習作』として位置付けられているため作品番号が存在しません


ショパン/ポロネーズ第11番ト短調KK.IIa/1/演奏:中川 京子

これはショパンわずか8才にして作曲したポロネーズです。ちなみにショパンはまだ譜が書けなかったということで、当時の先生が書き取ったという説があります。

ショパンの作曲家としての人生はポロネーズで幕を開け、生涯で最後となった大作も≪幻想≫というポロネーズ! 果たしてこれは単なる偶然なのでしょうか?
何世紀にも渡ってボクら人類を魅了し続けるショパンポロネーズには、何か特別な力が宿っているのではないかと感じざるを得ません。

あなたも今一度、ショパンポロネーズ集をガッツリと聴き込んでみませんか?

 

ショパン:ポロネーズ集(全7曲)

ショパン:ポロネーズ集(全7曲)

 
ショパン:ポロネーズ集

ショパン:ポロネーズ集

 
ショパン:ポロネーズ集

ショパン:ポロネーズ集

 

一番のオススメはやはりルービンシュタインです。←推しピアニストなので…ヽ(・∀・ヽ)

それではまた!(^-^)/~~~