クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ショパン バラード 全4曲

おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

早いもので、息子が産まれて今日で丸4週間が経過しました。
初めての子育てですので、夫婦二人して悪戦苦闘しながら怒涛の毎日を送っています。
やはり大変なことが多いですが、それでも息子の天使のような寝顔や、反射と分かっていても笑顔を見せられるとそりゃ~頑張れます。
自分たちでも「これが親バカパワーなのか!」って驚くくらい底力が湧いてくるのです。

そして、この時期から『刷り込み』を意識して、息子のお布団の近くにCDプレーヤーを置いて、昼間はクラシック音楽をずっと流しっぱなしにしています。
妻が大好きな、ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番(by辻井伸行、ボクが大好きなョパン ノクターン全集&バラード全集(byアルトゥール・ルービンシュタインがメインです。

赤ちゃんの頃の辻井伸行さんが、スタニスラフ・ブーニンの弾く英雄ポロネーズを聴いて手足をバタバタさせたように、息子も…と観察してはいるのですが、普通に暴れ出すことはあっても要求はおむつ替えやミルクだけで、いまのところ音楽には全く反応していない模様です。(笑)

妻は「もうちょっと大きくなったらKAWAIのおもちゃピアノを買う!」と張り切ってますけどね。(爆)

 

『刷り込み』の意味を調べてみました。

刷り込み(すりこみ、imprinting)とは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種。
刻印づけ、あるいは英語読みそのままインプリンティングとも呼ばれる。

引用元:刷り込み - Wikipedia


この『生活史のある時期』というは、幼少期くらいまでのことでしょうか?
それとも、ある程度大きくなっても同じことを繰り返すことで記憶される現象も、刷り込みと言うのでしょうか?

例えば、あなたが学生時代(中学や高校など人格形成時期を過ぎた時代)に、ある演奏家のCDを聴きこんで、今でも記憶している曲があるとします。
その後大人になって、同じ曲を耳にしたけれど、別の演奏家のCDだったのでなんかしっくりこず違和感を覚えた。そんな経験はありませんか?

ボクこの経験、結構あるんです。
例えば、ショパンバラード第1番がそうですね。
近年、フィギュアスケート羽生結弦くんが圧巻の演技で世界一になったときに使用された、押しも押されぬショパンの名曲です。
それから、四月は君の嘘という漫画でも、感動的な最終話を飾る挿入曲として使われています。

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ボクがこの曲を初めて聴いたのは中学生の頃で、ウラディーミル・アシュケナージというロシア人ピアニストのバラード&スケルツォ集のレコードでした。
ちなみに彼は、現在もピアニスト兼コンダクター(指揮者)として世界の第一線で活躍しています。

 

ショパン:バラード&スケルツォ

ショパン:バラード&スケルツォ

 

いまやレコードは売られておりませんので(笑)CDをご紹介しておきます。
彼のバラードはどこまでも透明感があり、癖のない清潔な演奏が特徴です。都会で汚れきった心を綺麗に浄化してくれます。

とにかく、このレコードは初めて針を落とした瞬間からボクの愛聴盤となり、聴かない日がないくらい毎日レコードプレーヤー内でクルクルと回り続け、最後には溝が擦り減ってまともに聴くことが出来なくなったくらいです。(笑)

大学生になって、クラシック熱が上がっていろいろ聴きまくるようになったのですが、ほとんどの曲はどんなピアニストでも、気分によって聴き分けることができたのに、どうしてもバラードとスケルツォに関しては、なかなかアシュケナージ以外の演奏に馴染むことができませんでした
ツィメルマンポリーニルービンシュタインですら何か違和感を覚えたくらいです。

その後、しばらくはアシュケナージに甘えつつ徐々に他のピアニストを耳に馴染ませていき、今ではその刷り込み効果も薄れて無事に(?)脱アシュケナージができました。
今では、ルービンシュタインバラードが一番好きになってます。
結局、抜け出すまで5年くらいかかってますから、恐るべし刷り込み効果!です。

さて折角なので、ここで…

 

ショパンバラード(全4曲)について簡単にご紹介

ただし、演奏するにあたっての技術的なことには一切触れません。
なぜなら、ボクはバラードを一曲たりとも弾ききれる技術を持ち合わせていないからです。
ここでは、あくまでも曲を聴いた感想にとどめたいと思います。

まず、バラードというのを簡単に説明すると、譚詩(たんし)とも呼ばれ、物語的な音楽を指します。
ショパンは友人である詩人ミツキェヴィッチの詩をヒントに、壮大かつドラマティックな構想で書かれたバラードを4曲も残してくれました。

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バラード第1番 ト短調 op.23

バラード全4曲の中で、一番有名な曲ではないでしょうか。
羽生結弦くんの演技で使用されたあの壮大で華麗な曲を、あなたも一度は耳にしたことがあるかと思います。
まさしく、氷上の王子≪世界の羽生結弦に相応しい曲といえるでしょう。

序盤、ゆったりとしたアルペジオが鳴り響いた後、憂いと静けさの中にも氷の結晶がキラキラと舞い続けているような美しい旋律が印象的です。
その後、奥ゆかしく控えめな進行が続くかと思いきや、いきなり感情が高ぶったり、またも物憂いに沈んだり、感情の赴くまま物語が展開していきます。
そして、最後の劇的に昂揚した激しいコーダ部に突入すると、一気に涙が溢れ出しそうになります。

この曲を聴き終えたとき、あなたはきっと魂と骨を抜かれた種馬(笑)のようになっていることでしょう。

 

バラード第2番 ヘ長調 op.38

ロベルト・シューマンは、先の第1番について「君の曲のなかで最も美しい!」ショパン宛ての手紙の中でラブコールしたくらいお気に入りだったようで、この第2番を献呈されて大変不服だったそうです。
シューマン…大人のくせに、ワガママ極まりないですね。(笑)

確かにこの曲は、構成的にもバラード4曲中一番シンプルで演奏時間も短いです。
しかし、鬱々とした夢想的な旋律と、激しく荒れ狂う感情的な心が交互に入り乱れ、『待ってました!』的に配置された最後の大爆発~収束という王道の構成は、ボクのようなベタなショパンマニアにはたまらない曲調ではありますけどね。

 

バラード第3番 変イ長調 op.47

冒頭の恋人同士の囁きは有名な下りです。
甘く幸せな二人の会話が対位法で書かれていて、あたかも間近で聞いている感じがして少々恥ずかしくなりますね。(/ω\)
激しく燃え盛るような感情の高ぶりはその後も姿を見せませんが、円熟期に入ったショパンの創作意欲が作曲技法のあちこちに見え隠れする素晴らしい曲です。
意外とこの気品あふれる曲を上手に弾きこなすピアニストは、なかなか存在しないんですよ。

 

バラード第4番 ヘ短調 op.52

これぞ、バラードの真骨頂です!
ピアニストにとっては、技術的にも構造的にも、非常に高度なテクニックと表現力が要求される難曲中の難曲です。
バラード中と限定せずとも、ショパンのすべてのピアノ曲中、最も傑出した曲といってもいいほど。

全編に渡って悲劇的な感情が支配しているのですが、師であるジヴヌィとワルシャワ時代の親友マトゥシンスキの死が、多少なりとも影響を及ぼしているかもしれません。
最後のコーダでは、全てを一気に終わらせるかのように急速下降したアルペジオとその後に続く力強い4つ和音が、半ば狂気的に曲を締めくくります。

 

ショパン:バラード&スケルツォ全集

ショパン:バラード&スケルツォ全集

 
ショパン:4つのバラード、幻想曲、舟歌

ショパン:4つのバラード、幻想曲、舟歌

 
ショパン:バラード

ショパン:バラード

 

この3人のピアニストが紡ぎだすバラード(物語)は特に傑出しています。お子様へのクラシック音楽の刷り込みにはこれらのCDを是非♪

あなたの大切な人へ、大切な家族へ、美しいショパンバラードをドンドン刷り込んでくださいね。

人類73億人ショパニスト計画!(^ー゚)ノ

それではまた!(^-^)/~~~