クラシックの森:ショパン大好き

都内在住のグラフィック&WEBデザイナーです。クラシック関連CDや漫画のレビュー等を交えながら、クラシック音楽の魅力を楽しく伝えていけたらいいなと思ってます。

ショパンの楽譜、どの版を使ってますか??

おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/

最近はイクメンとして、妻の子育てバックアップに力を注いでいるのですが、その割には何とかブログの方もネタを欠かさず、連日投稿できております。
少しずつではありますが、文章をまとめるのも早くなってきたような気がします。…って、キチンとまとまっているかは分かりませんけどね…(笑)
もっともっと数をこなして、いつかはライターさん並みの上手な文章がビシバシ書けるよう頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!

さて、今回は、ショパンの楽譜の版について書いていきたいと思います。

 

楽譜の版の違いについて

まず最初に「楽譜の版? なんじゃそりゃ…」と思ってらっしゃる方もいると思うので、簡単に説明させて頂きますね。

実は、現在のショパンの楽譜は世界中に何種類も存在していて、それらの楽譜を見比べてみると細かな表記が随分と異なっており、全てが同じなんてことはまずあり得ません。
これは出版元が複数あり、その数だけ監修や校訂した人間が違うために生じたものです。
ぶっちゃけ同じ曲でも、A社とB社が出した楽譜を比べると『全く違う音が書かれている箇所がいくつもある』なんてこともしょっちゅうですので、本当に困りものです。(^^;;

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ある2つの版による、ノクターンop.27-2 33小節目の比較。ご覧の通り完全に音が違ってます。右手(上段)の細かな運指も違いますよね。

何故こんなことになるかというと、そもそもショパンの残した自筆譜が何パターンも存在するからというのが理由の一つ。
一度作った曲を見直して、ちょこちょこと修正したり、構成を変えたり、指遣いや強弱やペダリングの指示を変えたり…なので、決定稿がどれなのか誰にも分からないのです。
小説家が完成した自分の作品を推敲してどんどん手を加えていっているようなものですね。
そういうボクも、このブログに記事を公開した後も、随時加筆したり、言い回しを変えたり、削ったりを繰り返してるくらいですから…って次元が違いすぎますね。失礼しました。(笑)

それから、ショパン自身が間違った記譜をしてしまったパターンもあります。
厳密にいえば、間違っているとは言い切れず、何かしらの意図をもって敢えて記譜されたものかも知れませんので、ここを変更するのかそのままでいくのかは研究者や校訂者次第ですね。
所詮、人間のやってることなんで、間違いなんてあって然るべきでしょう。

他にも理由はいろいろあるのでしょうが、とにかく沢山ある版の中からいずれかの楽譜を選んで練習しないといけないので、ある程度ピアノを嗜む人は版選びに慎重にならざるを得ません。
それに楽譜って結構お高いので「とりあえずどれか買ってみて、しっくりこなかったら他の版も買おう。」…なんてことやってると、散財しちゃいます。(笑)
スコアコレクターや、プロの音楽家なら別ですけどね。

 

最近のショパン楽譜のトレンド事情

というものがあるかどうかわかりませんが…(笑)
ポーランドで5年に一度開催されるショパン国際ピアノコンクールでは、ヤン・エキエル編のナショナル・エディション(通称:エキエル版)を使用奨励楽譜としているようですね。
このエキエル版の編纂(へんさん)は、ポーランドの国をあげての事業で、ショパン研究家であるヤン・エキエル氏が編集し、ショパン・ナショナル・エディション財団が出版したもの。
長年国家予算をつぎ込んで研究されてきましたので、確実にこれからの主流となる楽譜でしょうね。

ちなみに、このヤン・エキエル氏ですが、2014年に100歳という年齢でお亡くなりになられました。
後世に理想的なショパンの譜を残すため、人生を賭けて尽力した氏の姿勢に最大の敬意を払いたいです。

しかし、エキエル版は非常に高額です。←これ、結構切実ですよ!
安くても税込で3,500円以上、しかしほぼ4,000円とか5,000円を軽く超えてます。
なので、特別安いってわけではないけれど≪パデレフスキ版≫に落ち着くという人、少なからずいると思うんですよね。(笑)

パデレフスキ編 ショパン全集 VII ノクターン

パデレフスキ編 ショパン全集 VII ノクターン

 

 ノクターン全集ひとつとっても、この価格差(約3倍)…パデレフスキ版買っちゃいますよね。(^^;

定番とか名盤と呼ばれているCDは随分大昔に録音されているものが多いため、全てではないですが、ほとんどがパデレフスキ版で演奏されています。
事実、音大生はみな一様にパデレフスキ版で勉強していた時代がありました
でも、エキエル版が推奨されている今となっては、ずいぶんと端っこに追いやられそうな楽譜になってしまった…のかな?(゚ー゚?)

最近の音大生はどうなのでしょう? やはりエキエル版を使ってレッスンしているのかなぁ?
だとしたら、身体に染みつくほどパデレフスキ版で勉強してきた教授様たちは、結構教えるのもしんどいだろうなぁ。日々勉強されてるだろうから問題ないか…
なんて、要らぬ心配をしてしまいましたが(笑)ちょっとそこのとこの事情はボクには分かりません。

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これはボクが持っている楽譜ですが、すべてパデレフスキ版です。なぜならエキエル版はもれなくお高いから。それだけの理由です。(笑)

 

まだまだこんなに沢山の楽譜の版が…(-_-;

ボクの知ってる限り、ショパンには以下の代表的な版が存在します。

エキエル版
ウィーン原典版
ヘンレ社版
パデレフスキ版
コルトー
春秋社 井口基成 校訂版
音楽之友社標準版


通常、音大生やプロであれば、先生や師から勧められた版を使用しますが、素人はどういう判断基準で版をを選んだらよいのか分からないので、ついつい安い方に手が伸びるのが本音…なので、全音シリーズが売れる。←昔は悪評高かったみたいですが、今は改定も重ねられ、そんなに悪い楽譜ではなくなったようです。

「比較的安価で、メジャーで、いつも聴くCDの音と同じものでいいじゃん!」と思うのであれば、パデレフスキ版が安パイなのかも知れませんね。
なので、もうボクは生涯パデレフスキ版一本でいこうと思いますので、ピアノを弾く同志であるあなたに安心材料としてひとつ進言させて頂きます。

のだめちゃんが使っていた楽譜なので、間違いない!(爆)

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彼女も、パリのコンセルヴァトワールに留学時はパデレフスキ版でしょ?(笑)
といっても、これ10年近く前のお話ですけどね。

もし、「この他にもこんな版があるよ~。」ってご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください!

それではまた!(^-^)/~~~