ヴァレンティーナ・リシッツァ:YouTubeの魔女
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
2006年にGoogleに買収され、動画共有サービスのトップの座に堂々と君臨し続けるYouTube。
この便利すぎる無料コンテンツを、あなたはどんな風に活用していますか?
好きな音楽や映画を検索したり、興味のあるチャンネルを登録して新着動画をチェックしたり、自分で撮った動画をアップして同じ趣味を持つ仲間や友人らとのコミュニケーションを図ったり…おそらくそんな感じではないでしょうか?
これは、あくまでも個人的趣味の範疇で利用している感じですよね。まぁ、ボクもそうですが、至って普通の楽しみ方です。
逆に「このサービスを使って不特定多数のユーザーに何かを仕掛けたい!」なんて気持ち、よっぽどズバ抜けた才能や特技がない限りそうそう沸くものではありませんしね。
しかし、まさにこれを実践して大成功を収めた人も少なからずいるのですよね。
そこで今回は、このYouTubeでピアノの動画を世界中へ発信し続け、唯一無二の存在となった女流ピアニスト、ヴァレンティーナ・リシッツァを紹介したいと思います。
そのセルフプロデュース能力とブランディング戦略は見事なもので、もともと自分の才能を確信していた彼女にしてみれば「してやったり!」といったところでしょうね。
▲特別美人さんではないものの、なんとなく魔女っぽいルックスが魅力的な女性です。
忘れられないリシッツァのファーストインパクト
ボクが彼女の存在に気付いたのは比較的最近(2014年くらい?)で、すでに名門DECCAレーベルから何枚ものCDがリリースされていました。
全然聞いたこともない名前だったので「ん…誰だこれ?」くらいに思って特に気にも留めていなかったのですが、ある日ショパンのエチュードの動画をYouTubeで検索してたところ、24曲全てをまとめてアップしているピアニストがいたので何気なく再生してみたのですが、そのピアニストこそがヴァレンティーナ・リシッツァだったのです。
動画をみた瞬間、そりゃもう…ブッたまげました!ヽ(; ゚д゚)ノ
初っ端のop.10-1から「これくらい何てことないわ♪」みたいな涼しい笑顔で、そりゃもう見事に弾きこなすのですから、時を忘れて24曲一気に鑑賞してしまいましたよ。
そして、まぁその指が実によく回ること回ること! (゜∀゜)こりゃたまらんな~…
ここまで軽やかに、確実に、力強く、優雅に、自由に…もうすべての形容詞を使いたいくらいの演奏をされたら、もう無視してられませんよ~!
その後、彼女の経歴やどんなレパートリーを持っているのか、日本でツアーの予定はないのか、とにかくいろいろ調べまくりました。
それまでボクの中では、世界中にゴロゴロ存在する無名なピアニストの一人だったものですから、WEB上で彼女の記事がたくさん落ちている事実にビックリしましたよ。
但し、批判的なものもたくさんありましたけど、まぁ人気者には賛否両論が付きものですからね。
Chopin Etude Op10 No.1 Valentina Lisitsa
▲とりあえず何も考えず、こちらをご覧ください。きっと興奮して鼻息が荒くなります。(笑)
一気にスターダムへとのし上がったリシッツァ
キエフ出身のリシッツァは、地元ではそこそこ平均的なキャリアを積んできたピアニストです。
しかし、コンクール等で特に目立った受賞歴もなければ、世界が注目するような活動も皆無でした。
結婚を期にアメリカへ渡った後は、世界的なホール(カーネギーホールやウィーン楽友協会)でリサイタルも開いているのですが、これが世に出る決定打に至ってないというのは、単に巡りあわせの問題か運が悪かっただけなのかも知れません。
彼女のキャリアに転機が訪れたのは、YouTubeにピアノの演奏動画を投稿するようになってから。
YouTube内の彼女のチャンネルで古い順に動画を並べ替えてみると、10年前(2007年)のショパン エチュード Op.10-4が最初の投稿みたいですから、ちょうどボクが最初に観て度胆を抜かれた動画リストに含まれてますね!
そんな彼女のYouTubeチャンネルは、動画再生数も登録数も半端ないです。
当然、その演奏能力があっての数字ですが、その上で何年もの間積み重ねてきた地道な努力が、今の彼女のピアニストとしての地位に結び付いたのでしょう。
その後のDECCAとの契約や世界ツアー等にこぎつけるまで、当然苦労したこともたくさんあるかとは思いますが、YouTubeでここまで成功できること自体ほとんど奇跡だと思います。
プロアマ問わず、ショパンやバッハやベートーベン等の曲をYouTubeで公開している人が世界中にどれくらいいるのでしょうか?(^^;;
それこそ、自宅での演奏風景から、発表会、コンクールやコンサート映像の無断掲載(爆)まで。
ここからピックアップされるのは、砂漠の一角に紛れたたった一粒の宝石を拾うようなものです。
とにもかくにも、ヴァレンティーナ・リシッツァは、今後も注目に値するピアニストであることに間違いはありません♪
素晴らしきヴィルトゥオーゾ! そのダイナミズム!
リシッツァのレパートリーはショパンだけにとどまりません。
ベートーベン、リスト、ラフマニノフ、モーツァルト、バッハ、シューベルト、チャイコフスキー、スクリャービン、ショスタコービッチ、グリーグ(順不同)…その他もう何でもござれです。(゚Д゚≡゚Д゚)
そして、その演奏スタイルは、誰も真似ることができないであろう完全なるリシッツァ流。
一切媚びることのない彼女の演奏は、確かな演奏技術に支えられ、どこまでも自由で奔放で煌びやかで…聴き手に微塵もストレスを感じさせません。
Beethoven Rocks! on Paris Streets: Appassionata on upright:) Lisitsa
▲ベートーベンも彼女にかかればこの通り。
伝統的な解釈をもっての模範演奏も素晴らしいですが、ここまで演れるリシッツァもまた素晴らしい。
正統派のドイツ人大先生なら、顔を真っ赤にして怒り出しそうですけどね。(笑)
興味が湧いたら、あなたもYouTubeで≪ValentinaLisitsa≫と検索していろいろな動画を観てみましょう。
とても短時間で見終わるような動画数ではありませんので、チャンネル登録も忘れずに!(≧∇≦)b
それではまた!(^-^)/~~~
クラシックギターのお話
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
クラシック音楽って本当に幅が広く、そして奥が深いです。
オーケストラで演奏される交響曲や、ソリストを迎えての協奏曲、声という最強の楽器(?)を使った声楽やオペラもありますしね!
そして、器楽曲(独奏曲)まで入れると、世の中には数えきれないほどの膨大な曲が存在します。
器楽曲の多くはピアノやヴァイオリンが占めると思いますが、その他チェロ、ヴィオラ、コントラバス、オーボエ、クラリネット、フルート、トランペット、トロンボーン、チューバ、ホルン、ファゴット…あとは?
あぁ~、もうこれくらいしか楽器の名前が出てこない…
ついつい、近所のドブ川程度の浅い知識を露呈してしまいましたが(笑)、これらの楽器にはすべてに独奏曲が存在するのでしょうか?
もちろん他の楽器のためのものを編曲したものであれば、いくらでも存在するのでしょうけど。
あれれ、ここでちょっと待ってくださいよ!?
クラシックには上記のように、オーケストラを編成するために多くの種類の楽器が存在しますが、現代においてピアノより身近で気軽に演奏できる楽器があるということを忘れてはいませんか?
そうです! ギターです! ←目からウロコ
といってもエレキギターやアコースティックギターではなく、ここではピックを使わないクラシックギター縛りということでお願いします。(笑)
▲スペインの偉大なクラシックギタリストであるナルシソ・イエペスは10弦ギターを開発。音域を拡大することで、様々な器楽曲からの編曲と演奏を可能にしました。
クラシックギター:耳に馴染みある名曲たち
世界中には、たくさんのクラシックギター愛好家がいらっしゃいます。
普通のアコースティックギターを嗜む方でも、禁じられた遊びの≪愛のロマンス≫等に代表される、誰もが知るクラシックの名曲を演奏する機会もあるでしょう。
クラシックギターのための器楽曲として素晴らしい名曲は世に数多く残されていますし、先述のように他の楽器のための器楽曲をギター用にアレンジしたものもたくさん存在します。
有名な曲といえば、タレガの≪アルハンブラの想い出≫や、ロドリーゴの≪アランフェス協奏曲≫あたりでしょうか。
ヴィラ=ロボスの≪5つの前奏曲≫も、ギターの特性を上手く活かした名曲で、第1番は『抒情のメロディ』と言われ、コンサートではよく弾かれる名曲です。
アルベニスのスペイン組曲≪アストゥリアス≫や、≪グラナダ≫はピアノの曲ですが、この哀愁漂う旋律がギターの音色ととても相性が良いのです。
▲ジョン・ウイリアムス:Concierto de Aranjuez Parte 1
でも、スペインものばかりではありません。
荘厳なJ.S バッハの曲も、クラシックギター用に数多く編曲されています。
たとえば≪リュート組曲≫や≪シャコンヌ≫等、かなりのテクニックを要しますが、曲としては非常に有名なのでプロのクラシックギタリストたちが好んでコンサートで演奏するようです。
▲ナルシソ・イエペス:Bach | "Chaconne" | Narciso Yepes | 10 string guitar |
しかし、非常に残念ながらクラシックギターって、クラシックを聴く人間から見てもマイナーで、微妙な立ち位置であることは否めないんですよね。
あなたの周りにも、エレキや普通のアコースティックギター(ROCKやPOPS等)をやっている友人はいても、クラシックギターをやってる友人はほぼいないでしょう?
ですから、よっぽどアンテナを張って「クラシックギターのリサイタルに行くぞ!」と意気込まない限り、なかなかその作品たちに生音で触れることができないのが実情です。
ピアノやヴァイオリンの方が派手でカッコイイので、そちらに魅かれるのは分かりますが、素晴らしい曲がたくさんあるのに食わず嫌いなのはちょっともったいない気がします。
まずはYouTubeでいろいろ調べて、一度聴いてみてはいかがでしょうか?
どんなクラシックギタリストがいるの?
…と質問されたら、ボクは間違いなくクラシックギター界では不動の大巨匠であるナルシソ・イエペス(やはりスペイン人)の名前を真っ先に挙げます。
彼が編曲と演奏を担当した、フランス映画『禁じられた遊び』の有名なテーマ曲を知らない人はまずいないでしょうね。
また非常に興味深いのが、彼はヴァイオリニストのジョルジュ・エネスコ、ピアノのワルター・ギーゼキングから演奏法を学んでいるということです。
とにかく彼に関しては、ネット上にかなりの情報が落ちてますので、興味のある方は是非一度検索してみて下さいね。
1997年に69才で他界されていますが、その偉大な名はいつまでもクラシックギター界に燦然と輝き続けることでしょう。
- アーティスト: タレガ,アルベニス,J.S.バッハ,ロドリーゴ、他,オドン・アロンソ Odon Alonso,スペイン放送交響楽団 Orquesta Sinfonico R.T.V.Espanola,ナルシソ・イエペス(ギター)Narciso Yepes
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2008/09/01
- メディア: CD
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次に名前を挙げたいのは、アンドレス・セゴビアに学んだ、ジョン・ウィリアムス。
天才的なクラシックギタリストであると同時に、フュージョンバンドを組んで音源まで残してます。
まるでジャズに傾倒したオーストリアの技巧派ピアニスト、フリードリヒ・グルダのようですね。
そして、ジョン・ウィリアムスといえば≪バリオス作品集≫です。
このCDは、クラシックギターに馴染みがない人にも超絶オススメします。
- アーティスト: ウィリアムス(ジョン),バリオス
- 出版社/メーカー: ソニー・ミュージックレコーズ
- 発売日: 1995/04/01
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最後に忘れてはならないのが、日本が世界に誇る天才ギタリスト、山下和仁さんです!
世界三大ギターコンクールと言われる『ラミレスギターコンクール』『アレッサンドリア国際ギターコンクール』『パリ国際ギターコンクール』全てにおいて、史上最年少優勝(16才)という輝かしい結果を残したのは後にも先にも彼だけです。
この人の超人的なギターテクニックは鬼気迫るものがあり、とても一人で弾いてるとは信じられないレベルです。
また、数々のオーケストラの曲やピアノの難曲をギター独奏曲として編曲・演奏するなど、かなり神がかった天才ぶりを発揮しています。
あのドヴォルザークの≪交響曲第9番 新世界≫や、リストの≪ハンガリー狂詩曲第2番≫まで!(」゚ロ゚)」
J.S.バッハ / 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ (全曲)
- アーティスト: 山下和仁,バッハ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2004/11/24
- メディア: CD
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特に知って頂きたいのが、最後に紹介した山下和仁さん。
彼のこれまでに残した数々の偉業を、以下のリンク先のWikipediaで読んで欲しいのです!
▲クラシックギターというマイナーな楽器…というと非常に乱暴な言い方になってしまいますが、もしこれがピアノ界での実績だったら…と思わずにはいられません。「(´へ`;
世の中には実にたくさんの楽器があり、たくさんの演奏家がいて、その中のほんの一握りの天才たちが歴史を紡いでいってるんですね。久しぶりにいろんな器楽曲を聴きたくなりましたよ。
とりあえず…チェロかな?(爆)
いえいえ、ここまで書いたのですから、今日はクラシックギターを聴くことにします!ヽ(^◇^*)
それではまた!(^-^)/~~~
ノクターンの生みの親はショパンではない。
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
この2日間、息子のお宮参りと来客が続いたため久しぶりにブログをお休みしました。
空いた時間に少しづつ進めて、ひとつくらい記事をアップできるかな? とも思いましたが、ボクの場合はクラシック音楽という特定した分野について自分の言葉で伝えるブログにしていますので、まとまった時間で集中して書いていかないと逆に効率が悪いのです。
たかがブログとはいえ、内容を薄くしたりいい加減なことを書き綴ることは絶対にしたくないので、いつも結構な時間をかけて記事を練って公開しています。
具体的には…
調べもの → 下書き → 推敲 → 加筆 → 公開
という5ステップでエントリーし、その後読み返すたびに随時修正を行ってます。
最初の『調べもの』は自分の知識や記憶に間違いがないか、Wikipediaなどのサイトで引用できる文章はないかの確認時間で、まずはこれに1時間程度かけてますので、公開まで平均3~4時間くらいの時間が必要ですね。(^^;;
それだけ時間をかけて書いても、クラシックにある程度詳しい人なら問題なく読める内容が、疎い人だと「この部分、きっとわからないだろうなぁ…」といった箇所もたくさんあると思うのです。
でも、そこをもっと掘り下げていくと回り道が多くなって文章にリズムも出ないし、文字数がイタズラに増えてなかなか着地できなくなります。
今のボクの文章力では限界がありますので、そこがジレンマですねぇ…
なんとかもう少し、上手に伝えるテクニックを磨いていきたいと思いますので、それまでなんとかお付き合いいただけたら…と思います。m(._.)m
というわけで、早速本題にいってみましょ~う!(^-^)/
現代となってはショパンの代名詞でもある≪ノクターン(夜想曲)≫ですが、あなたはこのノクターンという形式をショパンより先に、しかもショパンとほぼ同等数(20曲)の曲集を遺した作曲家がいたことをご存じですか?
今回は、そのノクターンという形式の創始者であるジョン・フィールド(1782-1837)についてお話しようと思います。
ジョン・フィールドの生涯について
ジョン・フィールドは1782年アイルランドの首都ダブリンに生を受けたクラシック作曲家です。
幼い頃から音楽一家に育ったフィールドは、すぐにその頭角を現し、10才を前にしてピアニストデビューしました。
11才の時に、当時ロンドンで大いに名を馳せていたムツィオ・クレメンティに弟子入りし、ヨーロッパの演奏旅行に同行したのですが、途中でクレメンティは自分の名と自社のピアノ(作曲家であると同時に、商売人としても成功していた。)を売りたいがために、この有能な弟子(広告塔)をロシアのサンクト=ペテルブルクのパトロンの屋敷に置いていくことにしました。
程なくしてクレメンティの思惑通り、フィールドは瞬く間にサンクト=ペテルブルクにその名を轟かせたということです。
なんだか、クレメンティがフィールドの才能を利用した悪者のような感じの文章になってしまいましたが(笑)そうではなく、きちんと指導は怠ることなく音楽家として立派に大成させたうえでのお話ですので、単なるクレメンティの私利私欲のみでの行動ではなさそうです。
その後間もなく移り住んだモスクワでも、サンクト=ペテルブルク時代に負けず劣らずの絶大な人気者となり、その音楽家としての名声を確実なものとしました。
「フィールドを知らないことは、罪悪である」
とまで言わしめた人気ぶりです。
また、指導者としても沢山の弟子を育て、その中にはあのセルゲイ・ラフマニノフの祖父もいたというのですから、フィールドのロシア音楽への貢献度は甚大ですね。
ラフマニノフの名前がロシア音楽の歴史に刻まれてなかったら…と思うと本当にゾッとします。
※ちなみにフィールドは晩年『ウォッカ』大量摂取にによる体調不良(アル中?)で、レッスン中はかなり朦朧としてたようです。さすがロシア…(^^;;
1832年にフランス・パリにてコンサートを開き、自身のピアノ協奏曲を演奏しますが、そこに居合わせた、ショパン、リスト、シューマン等の大物作曲家たちにそのピアニズムを大絶賛されました。
この頃のショパンは22才で、もうすでにフィールドの存在も知っていたし、彼のノクターンに影響を受けて自分でもノクターンを作曲しているのですから、なんだか感慨深いエピソードですね。
そして、1837年(満54才)、長年患った直腸癌によりロシアの地でその短い生涯を閉じました。
ジョン・フィールドのノクターン
最初に言ってしまえば、フィールドのノクターンは抒情的ではあるけれど、ショパンのノクターンほど熟慮された構成でもなければ完成度も高くないです。
食べ物に例えるとすれば…
残酷な話ですが、後世に広く親しまれているノクターンはショパンのそれであり、ノクターンといえばみなさん口をそろえてショパンというでしょう。
しかし、ノクターンの創始者は紛れもなくジョン・フィールドなのですから、それをここでとやかく論じるのは愚の骨頂ですよね…
それにしても、なぜこれほどまでに近年のピアニストたちは音源を残してこなかったのでしょう?
ショパンに多大なる影響を与えた音楽家なのに、その曲集が現世で知れ渡っていないのは、後発であるショパンがあまりにも偉大すぎたから?
当時のロシアでは絶大な人気を誇り、人生の大半をロシアで過ごしたフィールドですが、現在のロシアではショパンのノクターンの方が持てはやされているというのはちょっと皮肉な話ではありますね。
▲何かに集中したいときのBGMとしては非常に優秀です。ゆったりとした気持ちで読書するときもOK。
ちなみに、ショパンのノクターン第2番の左手のパターンは、このフィールドのノクターン第6番に酷似していますが…これをとってもフィールドからの影響が伺い知れます。
ショパンのノクターンについては過去記事にもエントリーしていますので、興味のある人は以下リンクよりご覧ください♪
cosmic-classics.hatenablog.com
今となっては逸話だけが独り歩きしていますが、ショパンのノクターンがボクたちに遺されているのは、ジョン・フィールドという才能ある作曲家がこの世に存在したからです。
その先駆者には大いなる敬意を表したいですね!
それではまた!(^-^)/~~~
横山幸雄さん:日本が世界に誇るピアニスト!
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
昨日、とうとう息子が脱・新生児の日を迎えてしまいました。
なんだか嬉しいような、さみしいような…新米ママとパパは複雑な心境です。
こういう時期は親御さんであれば誰もが通る道ですが、ボクが知る限りではみなさん口をそろえてこうおっしゃいます。
「このまま成長が止まって欲しい…」
その気持ち、分からないでもありません。だって、本当に可愛いもん。
しかしですね、新生児には魔の3週間というものがあって、その時期を過ぎる頃には、もう昼夜問わず1時間おきにオムツ、ミルク、オムツ、ミルク…その他なんらかの不快さをアピッてギャン泣き。(-_-;;
そんな状況がこれからも続くのですから、体力の消耗も精神的なダメージも相当なものでしょうね…覚悟しておきます。(笑)
とかいいながら、新生児特有の可愛さですべてが帳消しになるのです。
そんなもんさ、親バカだもの。 v(≧∇≦v)
そして、今日は朝から息子と一緒に、ショパンの≪舟歌≫と≪子守唄≫を聴きました。
ゆったりとした曲なのに、まるでX Japanを聴くかのごとく、息子は手足をバタバタさせてアーアー言ってました。てか、絶対聴いてないなこれ…
嗚呼、なんて優雅な休日の朝なんでしょう。(笑)
さて、今回は、ボクが日本人ピアニストの中で一番大好きな、横山幸雄さんについて語らせて頂こうと思います。
西欧の壁を超えた、日本が誇る天才ピアニスト!
日本人だからって、決して贔屓目ではないことを先にはっきりと申し上げておきます。
横山幸雄さんは、世界的に見ても文句なくトップレベルの才能を持った、優れたヴィルトゥオーゾといえるでしょう。
1971年2月19日生まれの現在46歳ですから、すでに10代で身に付けていた完璧すぎる技巧に加え、これからどんどん演奏に深みが増していくことと思います。
しかしまぁ、彼のことを改めて調べてみると、なんと素晴らしい経歴の持ち主だこと!
真の音楽エリートとは、まさにこういう人のことなんだなと思い知らされます。
1984年 - 全日本学生音楽コンクール・ピアノ部門中学校の部で第1位。
1987年 - 東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校在学中にパリ国立高等音楽院にフランス政府給費留学生として留学。ジャック・ルヴィエ、ヴラド・ペルルミュテール、パスカル・ドヴァイヨンに師事。
1989年 - 第41回ブゾーニ国際ピアノコンクール第5位。
1989年 - ロン=ティボー国際コンクールピアノ部門第3位。
1990年 - パリ国立高等音楽院卒業
1990年 - 第12回ショパン国際ピアノコンクールにて第3位およびソナタ賞を受賞。
1993年 - 横浜文化賞奨励賞受賞
1999年 - 文化庁芸術選奨新人賞(音楽部門)受賞
2000年 - ライブCD「ベートーヴェン12会/1998~1999」が第55回文化庁芸術祭レコード部門優秀賞を受賞。モービル音楽賞(奨励賞)受賞。
2003年 - 上野学園大学教授 (~2017年3月13日)、エリザベト音楽大学客員教授に就任。
2010年5月4日 - ショパンの全166曲を16時間弱かけて弾き通し、ギネス・ワールド・レコーズの「24時間でもっとも多い曲数を1人で弾いたアーティスト」に認定される。
2011年5月3日~5月4日 - 未発表曲を含め、確認されているショパンの全ての独奏曲212曲を約18時間かけて暗譜で弾き通し、自身が持つ「24時間でもっとも多い曲数を1人で弾いたアーティスト」のギネス記録を更新。
引用元:横山幸雄 - Wikipedia
横山幸雄さんの集中力という才能
一般論になりますが、ボクが「すごい才能の持ち主だなぁ!」と思える人ほぼ全員に共通するのが、ここぞという場面で『並外れた集中力』を発揮できる人だということです。
例えば、野球でいえば松井秀喜さんだったり、フィギュアスケートで言えば羽生結弦さんだったり。
もちろん人間ですから、躓いたり失敗することもあります。
しかし、必ずといっていいほど最後は帳尻を合わせて最高の結果を残すのです。
だから、彼らはスーパースターで在り続けることができるのですね。
横山さんの話に戻しましょう。
お母さんがピアノの先生という環境に育ち、幼少期よりピアノを始めたというのはありがちな話ですが、彼が他の子と違ったのが『ひとつのことをやり出したら、もの凄い集中力を発揮する』というところだったらしいです。
そして、小学校低学年のときに「ボクはピアニストになるから、野球もやらない!水泳もやらない!」と親に宣言をしたのだそう。
これは、横山さんが19歳で1990年の第12回≪ショパン国際ピアノコンクール≫第3位入賞という快挙を成し遂げた時のドキュメンタリー番組内で、お母さんがインタビューに応じてらっしゃったときの言葉です。
彼のお母さんがこれまた優しそうな方で、その横で黙ってニコニコと座ってらっしゃるお父さんの大らかそうな表情を見ると「あぁ、やっぱり子供の才能を伸ばすには、ちゃんと主張を尊重し、受け入れて全力でバックアップしてあげる環境を作ることが大事なんだなぁ…」と感じた覚えがあります。
てか、ボクは横山さんとほぼ同世代で、結婚だの子育てだの当時は未知のものだったんですけどね。
19歳とは思えない、毅然としたメディア対応
早いうちから名門であるパリ国立高等音楽院に留学し、世界でも名だたる指導者たちの教えを受けてピアニストとしての研鑽を積んでいたとはいえ、なにしろまだ学生でしたからね。
当時のその強気なメディア対応に、各方面からは「生意気だ」だの「自信過剰だ」だの、結構なこと陰で言われてたのですが、これはなんとも陰湿で醜い仕打ちですよ。
先に挙げたドキュメンタリー番組内でも、彼が19歳だからといってタメ口で、しかも軽口をたたく、とても感じの悪いディレクターがいました。
正直「横山くんは、アンタの何万倍もの努力をして、日本を代表するピアニストとして上位入賞の使命を背負ってんだよ。民放のディレクターごときが舐めた態度とるな!」とムカッ腹立ちましたね。
大体、アホなメディアや評論家たちは、出る杭を打つことでメシを食ってるハイエナのような連中。奴らにはさっさと引退してもらい、猛烈に反省して人間らしい真っ当な生き方をして欲しいものです。
まぁしかし、心配するには及ばず、やっぱり本物(横山さん)は強かったですね。
その自信過剰とも言われた強気な姿勢・態度は根拠十分だったし、最後にはキッチリ結果を出しているのだから誰もなにも言えないでしょう?(笑)
これこそが、先ほども書いたスーパースターの証しですね。
世界トップレベルの揺るぎない演奏技術
初めて横山さんの≪ショパン エチュード集≫のCDを聴いたときは、そりゃもうブッたまげました。
ボクにとって、あのマウリツィオ・ポリーニのそれを聴いたときと同等の衝撃だったんです。
正確無比で揺るぎのないテクニック、若いピアニストだからこそ自然に溢れだす瑞々しい感情表現。
一遍の曇りもない圧倒的名演です!
そして「これを超える演奏を聴かせてくれるピアニストが、今後いつ出てくるのだろう?」という、不安と期待を同時に感じさせてくれました。(^^;;
でも、ボクが生きてる間は超えなくていいですよ。心臓に悪いから。(笑)
▲クズ評論家たちが、どこかに穴がないものかと必死で聴きかえす滑稽な姿が目に浮かびます。まぁ、ハゲない程度に頑張って粗探ししてください。(笑)
ショパン ピアノ曲全166曲を16時間かけて連続演奏
2010年5月4日、ギネスに正式認定された驚くべき出来事です。
これにより、満を持して、彼の超人的ともいえる集中力が全世界へ証明されたことになります。
もちろんすべて暗譜(楽譜を見ずに演奏)です。一体どんな脳ミソしてるのでしょうか…
※ちなみに2年目は212曲を18時間かけて弾きギネス更新。もう、この人は…o(@.@)o
▲116曲演奏の模様は『クラシカ・ジャパン』でも放映されたので、しっかり録画しました♪
もちろん、Jacketも自作です。もうこれ生涯の宝物です。ヽ(^◇^*)/
また彼は、ショパンの生誕200年の年から、毎年のように≪入魂のショパン≫というコンサートを開催していますが、毎回テーマを絞って選曲されていて、まるでショパンと一緒に音楽の旅に出掛けているような感覚になります。
その他、ベートーベンやラベル全曲演奏など、天才・横山幸雄でしか成しえないイベントを精力的にこなしています。
さてさて、お次は一体、何を仕掛けてきてくれるのでしょうか?
もう、彼と同時代に生きて、その演奏に触れられる喜びを感じずにはいられませんね。
おまけ:上野学園問題について
音楽関係者や業界に詳しい方であれば、このニュースは記憶に新しいかと思います。
横山さんが教授として所属していた上野学園の経営陣による体たらくな経営状態は全くもって解決しておらず、未だにクラシック界に黒い影を落とし続けています。
しかし、彼らによる横山氏への処遇はいくらなんでも酷いんじゃないですか?
私利私欲に走った、厚顔無恥な経営者一族(石橋家)による茶番劇は、カスラックと悪名高いJASRACとともに、日本音楽業界の二大汚点として世間に醜態を晒すことになってしまいました。
この件に関しては、これ以上ここでとやかく熱くなっても仕方がないので、なんのことやら分からないという方は以下の記事をご覧ください。
外部リンク:上野学園を告発して解雇…ピアニスト横山幸雄氏が全激白|社会|ニュース|日刊ゲンダイDIGITAL
日本は音楽大学がかなり多く、その中にあって上野学園は特別飛び抜けた教育機関ではないものの、将来に夢と希望を抱いた若き音楽家たちが多数在籍していますので、彼ら学生のことはなんとしても守らなければなりません。
一刻も早く石橋一族が経営から身を引き、上野学園の経営が正常化することを祈ってます。
それではまた!(^-^)/~~~
フランツ・リスト:ロマン派時代のロックな男
丹精なマスクに美しい碧い瞳、そして颯爽とステージに現れる凛々しいお姿は、まさに栄華を極めたロックスターさながら。
加えて180cmを超える高身長で、超人的なピアノのテクニックの持ち主とあっては、どんなにお願いしても世の女性たちが放っておいてはくれませんね。
そんな、ルックスも才能も全てを兼ね備えた夢のような男が、かの高名なピアニストであり歴史的な作曲家でもあるフランツ・リストです。
▲そりゃあんたモテるさ… 例えピアノ弾けなくても、金がなくてもモテるさ…
こんにちは、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
朝っぱらから、リストのハードエッジでイケイケな人生のことを考えていたら、なんだかノリノリになって記事を書きたくなりました。(笑)
ショパンと同じ時代に生き、交流が深かったリストですが、性格も女性関係も演奏スタイルもすべてがショパンとは真逆。
派手でスキャンダラスで、何人もの女性に人生を翻弄されながらも、子孫と有能な弟子たちを残し、ショパンの2倍生きた非常に精力的で男性的なリスト。
甘いルックスとは裏腹に、緻密ではあるものの繊細とは程遠いダイナミックな演奏とパフォーマンスを身上とした≪ピアノの魔術師≫。
今回は、仕事ぶりもプライベートも肉食男子以外の何物でもない、フランツ・リストのパワフルな生き様に迫ってみたいと思います。
もう、彼を見習って、草食系とか言いながらナヨナヨと生きる自分にサヨナラしましょう!…って、ここそういうブログ?<(゚ロ゚;)>(笑)
全てが規格外! 歴代屈指のヴィルトゥオーゾ
リストを一言で表すとしたら、これ以外に適切な言葉が浮かんできません。
まず、手の大きさはかなりのもので、13度の音が掴めたといいます。
(13度も届くのはリストとラフマニノフくらいです。)
しかもその大きな手が、常人では考えられないスピードで鍵盤の上を這い廻るとか…想像しただけでもかなり異様な光景ですよね。(^^;;
▲ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ…いやいや、おかしいから!(笑)
リストのその変態的なテクニックは、それを目の当たりにした有名な作曲家たち(例えば、我らがショパンをはじめ、メンデルスゾーン、グリーグ、ワーグナーといった錚々たる面々)が知人宛の手紙などに書き記し、かなりの数の証言として残っています。
しかも、彼らが長い年月をかけて、その持てる力を全て注ぎ込み作曲した難曲たちを、ほとんど初見で見事に弾きこなすとくればその破格の才能が伺い知れます。
ちなみに、ピアノ曲ならまだしも、オーケストラの曲までピアノで初見演奏しちゃったというのですから驚きです!!w|;゚ロ゚|w
ここで恒例の豆知識コーナー!
そんなリストでも、初見でうまく弾けない曲集がありました。
それこそ、我らがショパンが作曲した≪エチュード op.10≫なのです!
さすが、ショパン様です♪ ますます惚れちゃいます!("▽"*)
過去記事にそのエチュードについてまとめてありますので、ご参考までにどうぞ♪
cosmic-classics.hatenablog.com
でも、数週間後には完璧に弾きこなしたらしいですけどね… さすがスーパースター(-_-;
全ての曲をヴィルトゥオジティに仕上げる演奏スタイル
これが結構問題で、いろんな作曲家たちから毛嫌いされる要因でもありました。
前述の通り、リストは存在する曲という曲すべて、いとも簡単に初見演奏できるものですから、いざコンサートになると余計な装飾音を即興で挿入してしまうのです。
もう、それは芸術性や音楽性云々の問題ではなく、ただただサーカスの曲芸のようなパフォーマンス重視の演出に過ぎませんでした。
あのショパンでさえも、リストの演奏技術には感心したものの、その繊細さに欠ける即興演奏にかなり憤慨し否定的だったらしいです。
しかし反対に、リストの門下生は屈指のヴィルトゥオーゾ揃いであるにも拘わらず、たくさんの音を詰め込んで見事な即興演奏を繰り広げる師を心から尊敬していました。
ピアノを破壊するリストは、まるでドラムを壊すYOSHIKI
どれだけ激しい演奏したらピアノって壊れるんでしょうかね?(^^;;
いや、例え現代のピアノよりも作りが頑丈ではなかったとしても、当時はフォルテピアノからモダンピアノへと遷移していく時代です。
音大生の皆さんが、数年かけてピアノをガンガン弾きつぶすことはあっても、ものの数時間で頻繁に弦を切ったりハンマーを破壊することってありますか?
リストは自身のコンサートには複数台のピアノをサブとして用意してたということですから、いかにパワフル(あるいは乱暴?)だったか、ひいては肉食男子だったかが分かりますよね!
当時のご婦人方が、そんなリストにご乱心、また失神される気持ちも分かる様な気がします。
お待たせしました、リストの女性関係
やはり、稀代のスーパースター フランツ・リストは超絶モテ男でした。
今でいうバンギャに朝から晩まで追いかけられる生活。女性には事欠きません。
人並みに失恋することもあったようですが、概ね色恋沙汰は晩年まで付きまといます。結婚~浮気~不倫~離婚~他諸々…と、ショパンでは考えられない女性遍歴。
終いにゃ暴露本まで出版されてしまいます。←なんだか、最近の芸能人みたいですね。(^^;;
それからリストは、ショパンの部屋の合鍵を持っていたのですが、よく逢引を目的にその部屋を内緒で使っていたようです。
そして、よりによって、ショパンがメインとして好んで弾いたピアノ≪プレイエル社≫の社長夫人を連れ込んでコトに及んだのですが、当然ショパンは大激怒。
リストとはそれが原因で不仲になってしまったという、有名なお話があります。
いやぁ~、大胆ですね。これだけにスポットを当てると、実にロクでもない男です。(笑)
とはいえ、やはり天才ピアニストで有能な作曲家です。
ただの色男でプレイボーイというだけなら、ここまで名を馳せるはずがありませんよね。
作曲家として、自身の曲はそこまで数多いワケではありませんが、名アレンジャーとして、他の作曲家たちの名曲の数々をピアノ版に編曲したものも残されています。
本当に有名なものだけを抜粋すると…
私見にすぎませんが、リストの生き様に触れると、『伝説のロックミュージシャン!』というニュアンスがピッタリに思えてきますが、クラシック音楽だって当時の流行歌のようなものです。
時代とともに生きた偉大な音楽家であることは、クラシックだろうがロックだろうが変わらないと思うのですが、いかがでしょうか?
クラシックというジャンルにおいては、スーパースターという呼び名がしっくりくるのは、このフランツ・リスト以外に思い浮かびません。
最後にオススメのリストの入門編CDと本をご紹介させて頂きます。
▲ドイツ生まれのアメリカ人ピアニスト、アンドレ・ワッツは世界でも名高いリスト弾きです。
そういえば、今を時めく中国人ピアニストLANG LANGは、彼が弾く予定だったラヴィニア音楽祭の代役で一躍脚光を浴びたのでした。←1999年の話です。
▲この本にはリストのすべてが書かれてます。非常に面白くて一気に読んじゃいます。
それではまた!(^-^)/~~~
ショパン バラード 全4曲
おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
早いもので、息子が産まれて今日で丸4週間が経過しました。
初めての子育てですので、夫婦二人して悪戦苦闘しながら怒涛の毎日を送っています。
やはり大変なことが多いですが、それでも息子の天使のような寝顔や、反射と分かっていても笑顔を見せられるとそりゃ~頑張れます。
自分たちでも「これが親バカパワーなのか!」って驚くくらい底力が湧いてくるのです。
そして、この時期から『刷り込み』を意識して、息子のお布団の近くにCDプレーヤーを置いて、昼間はクラシック音楽をずっと流しっぱなしにしています。
妻が大好きな、ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番(by辻井伸行)、ボクが大好きなショパン ノクターン全集&バラード全集(byアルトゥール・ルービンシュタイン)がメインです。
赤ちゃんの頃の辻井伸行さんが、スタニスラフ・ブーニンの弾く英雄ポロネーズを聴いて手足をバタバタさせたように、息子も…と観察してはいるのですが、普通に暴れ出すことはあっても要求はおむつ替えやミルクだけで、いまのところ音楽には全く反応していない模様です。(笑)
妻は「もうちょっと大きくなったらKAWAIのおもちゃピアノを買う!」と張り切ってますけどね。(爆)
『刷り込み』の意味を調べてみました。
刷り込み(すりこみ、imprinting)とは、動物の生活史のある時期に、特定の物事がごく短時間で覚え込まれ、それが長時間持続する学習現象の一種。
刻印づけ、あるいは英語読みそのままインプリンティングとも呼ばれる。
引用元:刷り込み - Wikipedia
この『生活史のある時期』というは、幼少期くらいまでのことでしょうか?
それとも、ある程度大きくなっても同じことを繰り返すことで記憶される現象も、刷り込みと言うのでしょうか?
例えば、あなたが学生時代(中学や高校など人格形成時期を過ぎた時代)に、ある演奏家のCDを聴きこんで、今でも記憶している曲があるとします。
その後大人になって、同じ曲を耳にしたけれど、別の演奏家のCDだったのでなんかしっくりこず違和感を覚えた。そんな経験はありませんか?
ボクこの経験、結構あるんです。
例えば、ショパンのバラード第1番がそうですね。
近年、フィギュアスケートの羽生結弦くんが圧巻の演技で世界一になったときに使用された、押しも押されぬショパンの名曲です。
それから、≪四月は君の嘘≫という漫画でも、感動的な最終話を飾る挿入曲として使われています。
ボクがこの曲を初めて聴いたのは中学生の頃で、ウラディーミル・アシュケナージというロシア人ピアニストのバラード&スケルツォ集のレコードでした。
ちなみに彼は、現在もピアニスト兼コンダクター(指揮者)として世界の第一線で活躍しています。
- アーティスト: アシュケナージ(ヴラディーミル),ショパン
- 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
- 発売日: 2009/05/20
- メディア: CD
- 購入: 1人
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▲いまやレコードは売られておりませんので(笑)CDをご紹介しておきます。
彼のバラードはどこまでも透明感があり、癖のない清潔な演奏が特徴です。都会で汚れきった心を綺麗に浄化してくれます。
とにかく、このレコードは初めて針を落とした瞬間からボクの愛聴盤となり、聴かない日がないくらい毎日レコードプレーヤー内でクルクルと回り続け、最後には溝が擦り減ってまともに聴くことが出来なくなったくらいです。(笑)
大学生になって、クラシック熱が上がっていろいろ聴きまくるようになったのですが、ほとんどの曲はどんなピアニストでも、気分によって聴き分けることができたのに、どうしてもバラードとスケルツォに関しては、なかなかアシュケナージ以外の演奏に馴染むことができませんでした。
ツィメルマンやポリーニ、ルービンシュタインですら何か違和感を覚えたくらいです。
その後、しばらくはアシュケナージに甘えつつ徐々に他のピアニストを耳に馴染ませていき、今ではその刷り込み効果も薄れて無事に(?)脱アシュケナージができました。
今では、ルービンシュタインのバラードが一番好きになってます。
結局、抜け出すまで5年くらいかかってますから、恐るべし刷り込み効果!です。
さて折角なので、ここで…
ショパンのバラード(全4曲)について簡単にご紹介
ただし、演奏するにあたっての技術的なことには一切触れません。
なぜなら、ボクはバラードを一曲たりとも弾ききれる技術を持ち合わせていないからです。
ここでは、あくまでも曲を聴いた感想にとどめたいと思います。
まず、バラードというのを簡単に説明すると、譚詩(たんし)とも呼ばれ、物語的な音楽を指します。
ショパンは友人である詩人ミツキェヴィッチの詩をヒントに、壮大かつドラマティックな構想で書かれたバラードを4曲も残してくれました。
バラード第1番 ト短調 op.23
バラード全4曲の中で、一番有名な曲ではないでしょうか。
羽生結弦くんの演技で使用されたあの壮大で華麗な曲を、あなたも一度は耳にしたことがあるかと思います。
まさしく、氷上の王子≪世界の羽生結弦≫に相応しい曲といえるでしょう。
序盤、ゆったりとしたアルペジオが鳴り響いた後、憂いと静けさの中にも氷の結晶がキラキラと舞い続けているような美しい旋律が印象的です。
その後、奥ゆかしく控えめな進行が続くかと思いきや、いきなり感情が高ぶったり、またも物憂いに沈んだり、感情の赴くまま物語が展開していきます。
そして、最後の劇的に昂揚した激しいコーダ部に突入すると、一気に涙が溢れ出しそうになります。
この曲を聴き終えたとき、あなたはきっと魂と骨を抜かれた種馬(笑)のようになっていることでしょう。
バラード第2番 ヘ長調 op.38
ロベルト・シューマンは、先の第1番について「君の曲のなかで最も美しい!」とショパン宛ての手紙の中でラブコールしたくらいお気に入りだったようで、この第2番を献呈されて大変不服だったそうです。
シューマン…大人のくせに、ワガママ極まりないですね。(笑)
確かにこの曲は、構成的にもバラード4曲中一番シンプルで演奏時間も短いです。
しかし、鬱々とした夢想的な旋律と、激しく荒れ狂う感情的な心が交互に入り乱れ、『待ってました!』的に配置された最後の大爆発~収束という王道の構成は、ボクのようなベタなショパンマニアにはたまらない曲調ではありますけどね。
バラード第3番 変イ長調 op.47
冒頭の恋人同士の囁きは有名な下りです。
甘く幸せな二人の会話が対位法で書かれていて、あたかも間近で聞いている感じがして少々恥ずかしくなりますね。(/ω\)
激しく燃え盛るような感情の高ぶりはその後も姿を見せませんが、円熟期に入ったショパンの創作意欲が作曲技法のあちこちに見え隠れする素晴らしい曲です。
意外とこの気品あふれる曲を上手に弾きこなすピアニストは、なかなか存在しないんですよ。
バラード第4番 ヘ短調 op.52
これぞ、バラードの真骨頂です!
ピアニストにとっては、技術的にも構造的にも、非常に高度なテクニックと表現力が要求される難曲中の難曲です。
バラード中と限定せずとも、ショパンのすべてのピアノ曲中、最も傑出した曲といってもいいほど。
全編に渡って悲劇的な感情が支配しているのですが、師であるジヴヌィとワルシャワ時代の親友マトゥシンスキの死が、多少なりとも影響を及ぼしているかもしれません。
最後のコーダでは、全てを一気に終わらせるかのように急速下降したアルペジオとその後に続く力強い4つ和音が、半ば狂気的に曲を締めくくります。
- アーティスト: ルービンシュタイン(アルトゥール),ショパン
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2007/11/07
- メディア: CD
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▲この3人のピアニストが紡ぎだすバラード(物語)は特に傑出しています。お子様へのクラシック音楽の刷り込みにはこれらのCDを是非♪
あなたの大切な人へ、大切な家族へ、美しいショパンのバラードをドンドン刷り込んでくださいね。
人類73億人ショパニスト計画!(^ー゚)ノ
それではまた!(^-^)/~~~
ショパンの楽譜、どの版を使ってますか??
おはようございます、グラフィッカー☆JUNです。(^-^)/
最近はイクメンとして、妻の子育てバックアップに力を注いでいるのですが、その割には何とかブログの方もネタを欠かさず、連日投稿できております。
少しずつではありますが、文章をまとめるのも早くなってきたような気がします。…って、キチンとまとまっているかは分かりませんけどね…(笑)
もっともっと数をこなして、いつかはライターさん並みの上手な文章がビシバシ書けるよう頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします!
さて、今回は、ショパンの楽譜の版について書いていきたいと思います。
楽譜の版の違いについて
まず最初に「楽譜の版? なんじゃそりゃ…」と思ってらっしゃる方もいると思うので、簡単に説明させて頂きますね。
実は、現在のショパンの楽譜は世界中に何種類も存在していて、それらの楽譜を見比べてみると細かな表記が随分と異なっており、全てが同じなんてことはまずあり得ません。
これは出版元が複数あり、その数だけ監修や校訂した人間が違うために生じたものです。
ぶっちゃけ同じ曲でも、A社とB社が出した楽譜を比べると『全く違う音が書かれている箇所がいくつもある』なんてこともしょっちゅうですので、本当に困りものです。(^^;;
▲ある2つの版による、ノクターンop.27-2 33小節目の比較。ご覧の通り完全に音が違ってます。右手(上段)の細かな運指も違いますよね。
何故こんなことになるかというと、そもそもショパンの残した自筆譜が何パターンも存在するからというのが理由の一つ。
一度作った曲を見直して、ちょこちょこと修正したり、構成を変えたり、指遣いや強弱やペダリングの指示を変えたり…なので、決定稿がどれなのか誰にも分からないのです。
小説家が完成した自分の作品を推敲してどんどん手を加えていっているようなものですね。
そういうボクも、このブログに記事を公開した後も、随時加筆したり、言い回しを変えたり、削ったりを繰り返してるくらいですから…って次元が違いすぎますね。失礼しました。(笑)
それから、ショパン自身が間違った記譜をしてしまったパターンもあります。
厳密にいえば、間違っているとは言い切れず、何かしらの意図をもって敢えて記譜されたものかも知れませんので、ここを変更するのかそのままでいくのかは研究者や校訂者次第ですね。
所詮、人間のやってることなんで、間違いなんてあって然るべきでしょう。
他にも理由はいろいろあるのでしょうが、とにかく沢山ある版の中からいずれかの楽譜を選んで練習しないといけないので、ある程度ピアノを嗜む人は版選びに慎重にならざるを得ません。
それに楽譜って結構お高いので「とりあえずどれか買ってみて、しっくりこなかったら他の版も買おう。」…なんてことやってると、散財しちゃいます。(笑)
スコアコレクターや、プロの音楽家なら別ですけどね。
最近のショパン楽譜のトレンド事情
というものがあるかどうかわかりませんが…(笑)
ポーランドで5年に一度開催されるショパン国際ピアノコンクールでは、ヤン・エキエル編のナショナル・エディション(通称:エキエル版)を使用奨励楽譜としているようですね。
このエキエル版の編纂(へんさん)は、ポーランドの国をあげての事業で、ショパン研究家であるヤン・エキエル氏が編集し、ショパン・ナショナル・エディション財団が出版したもの。
長年国家予算をつぎ込んで研究されてきましたので、確実にこれからの主流となる楽譜でしょうね。
ちなみに、このヤン・エキエル氏ですが、2014年に100歳という年齢でお亡くなりになられました。
後世に理想的なショパンの譜を残すため、人生を賭けて尽力した氏の姿勢に最大の敬意を払いたいです。
しかし、エキエル版は非常に高額です。←これ、結構切実ですよ!
安くても税込で3,500円以上、しかしほぼ4,000円とか5,000円を軽く超えてます。
なので、特別安いってわけではないけれど≪パデレフスキ版≫に落ち着くという人、少なからずいると思うんですよね。(笑)
ショパン: ノクターン集/エキエル編(英語版)/ポーランド音楽出版社/ピアノ・ソロ
- 出版社/メーカー: ポーランド音楽出版社
- 発売日: 2010/03/01
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▲ノクターン全集ひとつとっても、この価格差(約3倍)…パデレフスキ版買っちゃいますよね。(^^;
定番とか名盤と呼ばれているCDは随分大昔に録音されているものが多いため、全てではないですが、ほとんどがパデレフスキ版で演奏されています。
事実、音大生はみな一様にパデレフスキ版で勉強していた時代がありました。
でも、エキエル版が推奨されている今となっては、ずいぶんと端っこに追いやられそうな楽譜になってしまった…のかな?(゚ー゚?)
最近の音大生はどうなのでしょう? やはりエキエル版を使ってレッスンしているのかなぁ?
だとしたら、身体に染みつくほどパデレフスキ版で勉強してきた教授様たちは、結構教えるのもしんどいだろうなぁ。日々勉強されてるだろうから問題ないか…
なんて、要らぬ心配をしてしまいましたが(笑)ちょっとそこのとこの事情はボクには分かりません。
▲これはボクが持っている楽譜ですが、すべてパデレフスキ版です。なぜならエキエル版はもれなくお高いから。それだけの理由です。(笑)
まだまだこんなに沢山の楽譜の版が…(-_-;
ボクの知ってる限り、ショパンには以下の代表的な版が存在します。
通常、音大生やプロであれば、先生や師から勧められた版を使用しますが、素人はどういう判断基準で版をを選んだらよいのか分からないので、ついつい安い方に手が伸びるのが本音…なので、全音シリーズが売れる。←昔は悪評高かったみたいですが、今は改定も重ねられ、そんなに悪い楽譜ではなくなったようです。
「比較的安価で、メジャーで、いつも聴くCDの音と同じものでいいじゃん!」と思うのであれば、パデレフスキ版が安パイなのかも知れませんね。
なので、もうボクは生涯パデレフスキ版一本でいこうと思いますので、ピアノを弾く同志であるあなたに安心材料としてひとつ進言させて頂きます。
のだめちゃんが使っていた楽譜なので、間違いない!(爆)
▲彼女も、パリのコンセルヴァトワールに留学時はパデレフスキ版でしょ?(笑)
といっても、これ10年近く前のお話ですけどね。
もし、「この他にもこんな版があるよ~。」ってご存知の方がいらっしゃったら是非教えてください!
それではまた!(^-^)/~~~